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2023年2月25日(土)

主張

安保政策の大転換

国民に説明せず強行するのか

 岸田文雄政権による昨年末の安保3文書の閣議決定は、敵基地攻撃能力の保有など戦後日本の安全保障政策を大転換するものにもかかわらず、選挙で国民の信を問うことも、国会でのまともな審議もなしに強行された暴挙でした。加えて、今年1月からの通常国会でも、岸田政権は具体的な説明を避け続けています。こうした姿勢に「民主主義の国では許されない」と批判が上がっています。

河野元衆院議長も批判

 「(安保3文書は)戦後日本の国柄を変えるほどの重大な政策転換なのに、国民に諮ったことは一度もない」

 衆院議長や外相を歴任し、自民党の総裁も務めた河野洋平氏は共同通信のインタビューで、こう指摘しています(沖縄タイムス20日付などに掲載)。

 河野氏は3文書について「防衛費は今後、国内総生産(GDP)比2%まで増額され、世界の3~4番目ぐらいの規模になる。立派な軍事大国だ」「(敵基地攻撃能力の保有は)外国の領土・領海の中で武器を使用し、破壊を試みるものだ。憲法の精神や専守防衛と相いれない」と強調しています。

 その上で「驚いたのは、(3文書の)閣議決定後に国会に示し、議論するかと思ったら、岸田文雄首相はワシントンに飛んでバイデン大統領に報告し『米国は大変喜んでくれた』と言って帰ってきたことだ」と述べています。日本国民や国会への説明より、米国への報告を優先する姿勢への批判です。

 しかも、日米首脳会談後の通常国会の審議でも、岸田政権は敵基地攻撃能力をめぐり、肝心な説明を拒み続けています。

 岸田政権は2023年度予算案の軍事費に、敵基地攻撃可能な米国製巡航ミサイル「トマホーク」の取得費として2113億円を盛り込んでいます。浜田靖一防衛相は、23年度に必要な数のトマホークを一括して購入するとしています。しかし、具体的な取得数や1基当たりの価格は「わが国の具体的な防衛能力が明らかになる」などとして公表を拒否しています。

 これに対し自衛隊の元高級幹部も、米国ではトマホークの輸出に議会の承認が必要で、その際、日本への売却数が明らかにされることや最新鋭のF35戦闘機に関しては調達機数が示されていることに触れ、「国民に防衛上の理由で言わない。これはだましです」と批判しています(香田洋二元海上自衛隊自衛艦隊司令官、8日、参院外交・安全保障に関する調査会)。

 岸田政権は、開発を進めている国産の「12式地対艦誘導弾能力向上型」などの長距離ミサイルについても、取得数や単価をはじめ射程や配備先を明らかにしようとしません。

地方選でノーの審判を

 3文書は、長距離ミサイルを保管する弾薬庫を確保するとしています。23年度の予算案にも弾薬庫の整備費を計上しています。しかし、浜田防衛相はどの弾薬庫に長距離ミサイルを保管するかどうかを示すことも拒んでいます。これで今月末に予算案を衆院で通過させようというのは許されません。

 河野氏は前出のインタビューで「今回のような話は本来、選挙で民意を問うのが筋」と述べています。大軍拡ノーの世論と運動で岸田政権を包囲し、目前の統一地方選で審判を下すことが必要です。


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