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2023年2月24日(金)

ロシアのウクライナ侵略1年

人道法に背く戦争犯罪

国際社会が非難

 第2次世界大戦後の欧州で、最大級の悲劇といわれるロシアのウクライナ侵略。罪のない市民に攻撃を重ねるロシアに対し、国際社会は「国際人道法違反の戦争犯罪」だと非難しています。

今すぐ終わりに

 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は21日、ウクライナの民間人死者数は少なくとも8006人、負傷者数は1万3287人にのぼると発表しました。東部など戦闘が激しい地域は検証ができないため、犠牲者数は「氷山の一角」だと強調しています。

 トゥルク国連人権高等弁務官は、この戦争は国連憲章と国際人道法の明白な違反であり「甚大な人的被害を今すぐ終わらせなければならない」と訴えています。

 ロシアの残虐性は当初から批判されてきました。昨年3月に行われたウクライナとロシア間の停戦協議では「人道回廊」を設置し、民間人の安全を確保することを合意。しかしロシア軍の攻撃はやまず、民間人が退避できず犠牲となる事例が報じられました。

 さらに世界を震撼(しんかん)させたのはロシア軍撤退後に確認された、首都キーウ近郊ブチャでの惨状でした。子どもを含め無抵抗の人々が虐殺された形跡に、戦争犯罪だと非難が高まりました。その後ブチャ以外の地域でも住民への拷問、殺害が数多く報告されました。

 ウクライナ当局は、首都のあるキーウ州だけで戦争犯罪に該当する事例を約1万件記録しています。全土で殺人や略奪、性暴力の被害をはじめ、1万6000人以上の子どもがロシアの支配地域に拉致されたといいます。

起訴に向け調査

 ロシアは昨秋からウクライナ全土にミサイル攻撃を開始。中でもインフラ施設が集中的に破壊され、停電や断水が広範囲に及んでいます。OHCHRによると、現在も人口の4割を超える約1800万人が人道支援を必要としています。

 ロシア軍による一連の軍事攻撃は、国際武力紛争に適用されるジュネーブ諸条約第一追加議定書違反だと指摘されています。議定書は、職業軍人ではない文民、民間施設への無差別攻撃を禁止。ロシアは批准国として、議定書を厳守する義務があります。

 国際刑事裁判所はロシアの戦争犯罪を調査し、起訴に向けて動いています。欧州連合はナチスドイツの戦争犯罪を裁いたニュルンベルク裁判を例に、特別法廷の設置を模索しています。(吉本博美)


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