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2023年2月22日(水)

主張

自治体非正規職員

雇用を保障し処遇改善を急げ

 全国の自治体で働く非正規雇用の公務員の約9割は「会計年度任用職員」が占めています。

 同職員の制度は2020年4月に導入されました。それまで非常勤として長く働いていた人も会計年度ごとの1年契約を原則とする仕組みです。このもとで「雇用が継続されるか不安」との訴えは絶えず、正規職員と差のある処遇の改善を求める声が強まっています。住民のいのちと暮らしを支える自治体職員が安心して働き続けられる制度にすることが必要です。

3月末で雇い止めの危機

 会計年度任用職員は全国で90万1千人余です(20年の総務省調査)。全国の自治体職員の2割強にあたります。

 多くの自治体では、会計年度任用職員について毎年、公募をおこなっています。

 再度の任用の回数を制限する運用も雇用不安を広げています。国は、再任用は可能とする一方で、それは2回までと例示しています。

 少なくない自治体は公募によらない再度の任用は3年までとしています。今年3月末に数十万人規模の会計年度任用職員が雇い止めになる危険が指摘されています。

 会計年度任用職員も、正規職員と同じ公務員として専門的・恒常的な公共サービスを担っています。安定的な雇用を保障することは住民にとっても不可欠です。任用期限の上限撤廃とあわせ、再任用では本人の希望を前提に、公募ではなく勤務実績によって、継続的任用を保障すべきです。

 公務員の任期については、「職員の任用を無期限のものとするのが法の建前であると解すべきである」(最高裁1963年4月2日)という判決が出されています。

 国際労働機関(ILO)も、「公務員の労働条件にかんする専門家会議」(同年)で「恒常的な職務を遂行することを要求される職員は、できるかぎり、正規のそれとして採用されなければならない」「臨時職員は、合理的な期間内に、正規職員となる機会を与えなければならない」と提言しています。

 いまこそ原点にたちかえるべきです。

 会計年度任用職員制度は、非正規職員の法的地位を明確にして、処遇を「改善」する趣旨で創設されました。しかし、むしろ悪化しているとの声が相次いでいます。

 自治労連のアンケート調査(22年5月末~9月、回答2万2千超)では、制度以前と合わせ勤続5年以上が回答の58%を占めたものの、その約6割が年収200万円未満でした。「単独で主たる生計を維持している」と回答したのは25%です。そのうち年収200万円未満が半数近くを占めました。「官製ワーキングプア」の実態が浮かび上がります。

職務に専念できる待遇を

 9割が仕事に「やりがいと誇り」を感じて働いているものの、「賃金を上げてほしい」59・5%、「一時金がほしい、増やしてほしい」39・1%、「毎年、賃金を上げてほしい」36・2%と要求は切実です。

 会計年度任用職員は、自治体・公務公共業務になくてはならない役割を担っています。

 住民のいのちとくらしを支える役割を発揮するためにも、職務に専念できる待遇、手当、休暇などでの常勤職員との均等待遇が必要です。


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