2023年2月20日(月)
きょうの潮流
きょう2月20日は、作家・小林多喜二の没後90年にあたります。節目に前後して今年も各地で記念の集いが開かれています▼先陣を切った1月の小林多喜二国際シンポジウム。中学生の子を持つ作家の梅村愛子さんが語りました。「中学校は校則でがんじがらめ。子どもたちは耐えて流して、反抗もしません。この子たちにこそ多喜二を読んでほしい」▼「母親はこんな偉そうなことを言っているけど、うちの子は本も読まず、ユーチューブばかり。矛盾を感じています」とも。客席の高齢女性から「子どもは親の背中を見ています。安心して頑張って」と励ましの発言もあり、会場は温かい拍手でわきました▼11日の「文学のつどい」では芥川賞作家の若竹千佐子さんがビデオメッセージを寄せました。昨年ドイツの日本文学研究者から「多喜二はドイツでも読まれています。お母さんが最後に多喜二にかけた言葉が忘れられません」と言われたそうです▼母セキは多喜二の遺体にすがり「もう一度立たねか、みんなのためもう一度立たねか」と泣き崩れました。この言葉はくしくも『蟹工船』のラスト「そして、彼等は、立ち上った。――もう一度!」と重なります▼今年初めて開催されるのが23日、日本橋公会堂での築地多喜二祭です。事務局の福田和男さんはこう話します。「大軍拡の危機にあるいま、多喜二終えんの地、築地でやらなければと。戦争に反対して殺された多喜二をよみがえらせることが軍国化阻止の力になると思っています」








