2023年2月20日(月)
主張
近づくビキニデー
反核・戦争反対の世論を結集し
1954年3月1日、アメリカが南太平洋・ビキニ環礁で行った大規模な水爆実験によって地元住民や日本漁船の船員が大量の放射能を浴びました。被災69年の今年のビキニデーは、戦争と平和をめぐる重大な情勢のもとで迎えます。反核平和の世論を高める機会にすることが重要です。
核使用の非人道的な結末
ウクライナ侵略を続けるロシアのプーチン大統領は2日、欧米諸国がウクライナへ戦車供与を決めたことに対し「対抗手段がある」などと述べ、核兵器使用を改めて示唆して威嚇しました。アメリカなど北大西洋条約機構(NATO)諸国も、破綻が明瞭となった「核抑止」政策に固執しています。
「ロシアは侵略をやめよ」の声を広げることと合わせ、核兵器の使用も威嚇も許さず、核兵器廃絶を求める世論の強化が必要です。広島・長崎への原爆投下とともに核兵器の非人道性を示したビキニ被災を想起する意義は、これまでにも増して大きくなっています。
アメリカは1950年代、核兵器開発のために、南太平洋で核実験を繰り返しました。実験場周辺の住民は汚染された故郷に今も戻れず、がんの多発など長年にわたり健康被害に苦しめられています。周辺で操業していた日本の多くの漁船員も被ばくしました。マグロ漁船第五福竜丸の無線長・久保山愛吉氏の死は、ヒロシマ・ナガサキに続く核兵器の犠牲者として、社会に大きな衝撃を与えました。太平洋で取れた魚の放射能汚染の不安ともあいまって、原水爆禁止を求める国民的な運動が広がりました。ビキニ被災は原水爆禁止運動の原点でもあります。
2021年に発効した核兵器禁止条約は、被爆者と核実験被害者の「容認しがたい苦難と損害」を前文に明記し、支援(6条)と国際的な協力(7条)を義務付けました。昨年6月の同条約第1回締約国会議は行動計画を採択し、被害者支援の具体化として「国際信託基金設立」の検討、「科学諮問グループ」の設立などを盛り込みました。その取り組みを、非締約国とともに市民社会や若者を含む関係者と連携・協力して行うことも定められました。禁止条約は生きた力を発揮しつつあります。
唯一の戦争被爆国・日本は、核兵器の使用を前提にしたアメリカの「核抑止力」=「核の傘」への依存を改め、一刻も早く核兵器禁止条約に参加すべきです。そうしてこそ核保有国に説得力を持って核軍縮を迫ることができます。
禁止条約への参加以前にも、被害者支援の国際協力に積極的に貢献することは可能です。何より、ビキニ被災者を放置してきた姿勢を改め、一刻も早く被害の全体像を明らかにし、高齢化する被災者と家族の救援を行うべきです。
運動を大きく発展させる
3月1日のビキニデー集会(同実行委員会などの主催)は4年ぶりに静岡市での現地参加(オンラインも併用)で開催されます。原水爆禁止日本協議会の全国集会(2月27~28日)も行われます。それぞれ海外の運動団体代表も参加します。
岸田文雄政権に核兵器禁止条約への参加を求める運動と、大軍拡・大増税を阻止して安保3文書を撤回させる運動を大きく発展させる集会として成功をおさめることが期待されます。








