2023年2月18日(土)
きょうの潮流
いま将棋界で話題を集めているのが王将戦7番勝負です。史上最年少で五冠を達成するなど次々と記録を塗り替えている20歳の藤井聡太王将に、前人未到のタイトル獲得100期を目指す52歳の羽生善治九段が挑戦。双方2勝2敗の接戦に熱い視線が注がれています▼ところで、その羽生九段。入管に収容されていた外国人の救済を求めて、当時の小泉純一郎首相に嘆願書を送ったことがあります。助けようとしたのは元チェス世界王者のアメリカ人、ボビー・フィッシャー氏(故人)▼同氏は東西冷戦中、政府の命令に反してユーゴスラビアで対局したことから祖国に帰れなくなりました。各国を転々とし日本にも滞在。2004年、出国しようと成田に向かった時にパスポートが無効だとして逮捕され、茨城県牛久市の東日本入国管理センターに収容されました▼多くの人が救援に動き、同氏はアイスランドの市民権を得て解放されました。しかし「不法滞在」とされる外国人への日本での扱いは変わりません。裁判もないまま無期限収容され強制送還を恐れる日々。病気でもまともに診察を受けられません。「仮放免」になっても就職できず、移動も制限されます▼死亡事件も相次いでいます。フィッシャー氏のいた入管でも9年前、カメルーン人男性が体調不良にもかかわらず放置され、死亡しています▼政府は人権侵害と批判を浴びて廃案になった入管法改定案を再提出しようとしています。人権を守る方向での改革こそ求められています。








