2023年2月16日(木)
きょうの潮流
背の高さの違う3人が塀越しに野球観戦をする2枚のイラストがあります。1枚には、それぞれ同じ高さの踏み台に乗る3人が。最も高い人は塀より背が高いため台に乗るとさらに見えやすくなりますが、一番低い人は塀より低いまま▼もう1枚は、一番低い人の足元には2段の踏み台があり、最も高い人にはなし。中の人は一つの踏み台の上で、3人がほぼ同じ高さで塀越しに観戦を楽しんでいます。2枚のイラストのどちらが平等・公平を表しているでしょうか▼障害者が社会参加するためには「踏み台」が不可欠です。一人ひとりの障害にあわせて社会の側が用意すべきですが、障害者の人権を守るにはぜい弱です▼障害者や家族らはことあるごとに、「踏み台」=社会福祉などの充実を行政に要請。「他制度との公平性・公正性の観点から」と前置きして、厚生労働省は障害福祉施策の改善に後ろ向きの姿勢を示すことがたびたびです▼「軍事費を増やさないで福祉を増やして」。脳性まひで肢体不自由の松本誠司さん(54)は年始に高知県庁を訪れ、訴えました。自民党県議は、こう応じたといいます。これまで福祉予算ばかり増やしてきたから戦争のための予算を増額しなければ―▼軍拡に向かってひた走る岸田自公政権。一方で公平性・公正性を口実に社会保障全体の圧縮を狙い、多くの市民の人権が脅かされつつあります。「踏み台」がないと障害のない人と同じ暮らしを送ることが困難な人たち。平和でこそ平等・公平は実現します。








