2023年2月12日(日)
きょうの潮流
アワ、ヒエ、キビ…などの雑穀には、かつては「貧しい食べ物」という印象がありました。しかし近年は、食物繊維やビタミンなどが豊富で栄養価の高い食品として見直されています▼ご飯と炊いたり、スープやサラダにまぜたりして、気軽に食べられます。プチプチ、モチモチした食感が人気で「肌の調子が良くなった」「便秘をしなくなった」などの効果も期待できそう▼さらに多くの雑穀は、やせた土地や乾燥した土地でも栽培できるという利点があります。こうした雑穀の魅力を広めて消費を増やし、持続可能な生産を奨励しようと、国連食糧農業機関(FAO)は今年を「国際ミレット(雑穀)年」と定めました。本紙日曜版1月22日号でも特集しました▼日本では雑穀の栽培者が減少しています。日曜版に登場した岩手県花巻市の農協職員は「いま栽培している人のほとんどが70~80代。その人たちがリタイアしたら作る人がいなくなる」と危機感を語っていました▼手作業での雑草とりなど栽培に手間がかかるため栽培面積を大きくすることができない。しかし政府は、コメからの転作を支援する交付金を削減するなど厳しい状況に追い打ちをかけていると指摘します▼農業の後継者問題は深刻ですが、一方では気候危機などへの関心が高まるなか、「農業をして暮らしたい」という若い世代も出てきています。必要なのは国が予算を増やして農業を支え、生活の保障や将来への展望を示すこと。それでこそ希望ある道が見えてきます。








