2023年2月11日(土)
生活保護減額は違法
宮崎地裁 全国5件目 処分取り消し
国が2013年から行った生活保護費の基準額引き下げは生存権を保障する憲法に違反するとして、宮崎市の保護利用者3人が減額処分取り消しを求めた訴訟の判決が10日、宮崎地裁でありました。小島清二裁判長は原告の請求を認め、違法だとして減額処分を取り消しました。
同様の訴訟では、全国29都道府県で1000人超の原告がたたかっています。減額処分の取り消しを認めた判決は、大阪、熊本、東京、横浜各地裁に続き5件目。
国は13~15年にかけて生活保護費の削減を段階的に実施。食料費や光熱水費などにあてる生活扶助の基準を平均6・5%引き下げました。削減総額は約670億円で、過去最大規模です。
判決は、最低所得世帯層の消費実態との比較で減額した「ゆがみ調整」については、厚生労働相の裁量権の範囲の逸脱、乱用はないとしました。
一方、08年以降の物価下落(デフレ)を考慮した「デフレ調整」では、生活保護世帯の消費支出を占める割合が低いパソコンなどの価格下落の影響を「過大に評価した可能性がある」と指摘。それに関する厚労相の判断には「統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性を欠く」と述べました。
そのうえで判決は、平均で6・5%もの基準引き下げはこれまでになく、約96%の生活保護利用世帯が減額されたため、「その影響は重大」だとしています。