2023年2月9日(木)
年金改悪案に抗議デモ
フランス全土で200万人
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【パリ=桑野白馬】フランス全土で7日、政府の年金受給開始年齢の引き上げ案に抗議する大規模なストや抗議デモが行われ、国内最大労組「労働総同盟」(CGT)によると約200万人が参加しました。改悪案の抗議行動は1月に続き3回目。CGTを含む主要8労組が呼びかけました。
パリでは約40万人が参加し「私たちの年金は私たちが勝ち取る」と唱和。笛や太鼓を打ち鳴らし、踊りながら行進しました。手作りのプラカードには「これ以上働かせる案にノン」「若者も黙ってはいられない」との言葉が並びました。
政府の案では、実質的な定年退職年齢にあたる年金受給開始年齢を2030年までに、現行の62歳から64歳に引き上げます。高齢社会で年金制度の維持が困難だと主張しています。
病院の元職員アラン・ギョームさん(74)は、政府の主張を「ごまかし」と一蹴し「実際は2年も追加で働かせ、富を吸い取る資本家のための法案だ」と指摘。「低賃金で過酷な労働環境に苦しむ人には一層こたえる。子どもの未来のためにもたたかう」と話しました。
映画の助監督のマリーヌ・デュランさん(32)は、祖父母や親が勝ち取ってきた労働者の権利が崩れつつあるとして「いま自分がたたかわないと、次の世代にはもっと悪くなる。廃案まで街頭に出る」と述べました。
パリの空港職員を代表するCGT―ADPのダニエル・ベルトンヌ書記長(53)によると、政府は法案提出前に組合との協議を開きました。ただ「要求は何一つ聞かれなかった」と言います。ベルトンヌ氏は「すべての人が尊厳ある年金を手にして、仕事以外のことに時間を費やす権利がある」と語りました。