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2023年2月9日(木)

きょうの潮流

 今月4頭のパンダが日本を旅立ちます。上野動物園のシャンシャンと、和歌山・白浜町のアドベンチャー・ワールドでくらす永明(えいめい)、桜浜(おうひん)、桃浜(とうひん)です▼中国側との取り決めによるもので、同じ時期に返還が重なったのはコロナの水際対策が緩和された影響とみられています。現在国内には13頭のパンダがいますが、一気に3分の1弱がいなくなることで、さみしいとの声が相次いでいます▼日本に初めてパンダが来てから半世紀がたちます。しかし、10年以上前から新規の受け入れは実現していません。その間、希望する動物園はあったものの、今日に至るまで。背景には、日中関係の冷え込みがあります▼外交の表舞台にパンダが登場したのは、日中の戦争がきっかけだったといいます。1941年、時の国民党政権は蒋介石の妻、宋美齢を通して米国に2頭のパンダを贈ります。その裏には米国の対日政策が中国に有利になるよう宣伝戦略があったと家永真幸東京女子大准教授は説きます(『中国パンダ外交史』)▼中国近現代史を専門とする家永さんは、パンダの贈呈や貸与には時代ごとの外交方針や戦略が表れているといいます。「パンダの温和で平和なイメージを国のイメージとダブらせ利用してきた」▼日中間に溝があるといっても、ともに欠かせない貿易相手国。コロナ前には訪日中国人の爆買いが話題になるほど人的往来も活発でした。パンダの話題だけでなく、互いに関心を高める。それがよりよい関係を築くことにつながるはずです。


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