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2023年2月8日(水)

主張

教育費負担の軽減

「子育てに優しい国」への柱に

 政府の子ども子育て政策で国民が最も望んでいるのは、重すぎる教育費の負担軽減です。内閣府が2020年度に行った「少子化社会に関する国際意識調査」によれば、育児支援の最重要政策はなにかとの質問に対し、日本では「教育費の支援、軽減」との回答が69・7%と最高でした。希望する人数まで子どもを「増やさない・増やせない理由は」との問いへの答えの最多も「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」(51・6%)でした。安心して子どもをうみ育てる社会の実現に向けて、教育費負担の抜本的軽減を政策の中心に据えなければなりません。

若い世代の切実な要求

 内閣府の国際意識調査は05年から5年に1度、4~5カ国の子育て世代を対象に行われています。最新の20年度調査は、日本のほかフランス、ドイツ、スウェーデンを対象にしました。

 「子どもをうみ育てやすい国だと思うか」との問いに対し、日本では「そう思わない」とする回答が61・1%でトップでした。「そう思う」は最低の38・3%です。

 スウェーデンは「そう思わない」は2・1%、「そう思う」は97・1%にのぼりました。フランスも「そう思わない」17・6%、「そう思う」82・0%で、日本とは際立った違いを見せています。

 スウェーデンで「子どもをうみ育てやすい国だと思う理由」についてのトップは、「教育費の支援、軽減があるから」(84・1%)となっています。スウェーデンでは教育を無償にするなどの仕組みが整っています。教育にかかわるお金の心配のないことが、子育てに希望を持てる社会の土台になっていることを示しています。

 文部科学省の子どもの「学習費調査」(21年度)では、幼稚園3歳児~高校卒までの15年間平均で▽全て公立の場合は574万円▽小中が公立、幼稚園と高校が私立の場合は781万円▽全て私立の場合は1838万円かかっています。非正規雇用など不安定で収入の少ない若者にとって、教育費軽減は子どもを持つためには極めて切実です。日本財団が先月6日発表した若い世代への意識調査(17~19歳の1000人が回答したインターネット調査)でも、実施してほしい少子化対策は「教育無償化」が39・3%と第1位でした。

 岸田文雄政権は1月の施政方針演説で「次元の異なる少子化対策」を表明しましたが、教育費の軽減策がありません。首相が演説で触れた「出世払い型の奨学金制度」は、卒業半年から返済が求められる仕組みであり、「負担は重い」と批判されています。

政治の姿勢変えなければ

 小中学校の給食費を国の責任で無償化することは待ったなしです。高校無償化を進めることも不可欠です。大学学費の無償化をめざし、当面半額にすることは急務です。日本独自の高すぎる入学金もなくす必要があります。返済不要の給付奨学金を抜本的に拡充しなくてはなりません。

 国際水準からも立ち遅れている子ども関連予算、教育費への公的支出を大幅に増額する時です。

 教育予算をほとんど増やさず、空前の大軍拡に税金をつぎ込む岸田政権の姿勢は根本的に間違っています。軍拡を許さず、子育て・教育予算を増やせの世論を広げることが急がれます。


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