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2023年2月6日(月)

中絶薬 「厳格」管理の厚労省

国際水準とかけ離れ

今月末まで意見を公募

 人工妊娠中絶のための飲み薬(中絶薬)の使用を国内で認めるか否かについて、厚生労働省が2月28日まで意見公募(パブリックコメント)を実施しています。早期承認を求めて運動してきた人たちは、中絶をめぐる日本の法制度の問題点を発信し、世界基準のリプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の保障を実現しようと訴えています。

 審議中の中絶薬は、妊娠継続に必要な黄体ホルモンの働きを抑える「ミフェプリストン」と、子宮を収縮させる「ミソプロストール」を組み合わせて使うもの。2021年12月に英製薬会社が国内使用の承認(薬事承認)を申請しました。

 厚労省の審議会部会は1月末に「承認して差し支えない」と判断したものの、同省は「社会的な関心の高さ」を理由に、パブコメのうえ上部組織の分科会で再審議することとしました。分科会は早くとも3月の見込みです。

 同省はパブコメに際し、薬の投与は、法的に中絶実施を認められている指定医の確認の下で行い、流通や使用状況を「厳格」に管理する方針を示しました。具体的には、納入された医療機関や数量、薬の識別番号、投与された人やカルテ番号などを記録するといいます。

 承認後の一定期間は、取り扱いを有床の医療機関に限る方針も提示。女性や妊娠する身体をもつ人が自ら薬を飲んで中絶すると罪になる堕胎罪や、配偶者の同意を必要とする母体保護法の枠組みも変えないとしています。

 中絶薬は80カ国以上で使用されており、世界保健機関(WHO)が安全な手法として推奨。世界の平均価格は約780円で、国連が基本的人権と位置づける「安全な中絶」を受ける権利を保障するうえで重要な役割を果たしています。

 厚労省の管理方針は、国際水準とかけ離れており、早期承認とともに、必要な人が必要なときに利用しやすい環境をいかに整備するかが焦点です。


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