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2023年2月4日(土)

性犯罪規定見直し

前進だが十分でない

国際人権団体など会見

 法相の諮問機関、法制審議会の性犯罪に関する部会が刑法の性犯罪規定見直しの要綱案をまとめたことを受け、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウや、性暴力被害者の支援団体、被害当事者らが3日、オンラインで会見を開きました。参加者からは要綱案を「スタート地点としては評価できる」としつつ、「さらなる課題」を指摘する声が相次ぎました。

 要綱案は、被害者が「同意しない意思を形成し、表明し、または全うすることが困難な状態」での性行為が強制性交等罪にあたるとしました。

 被害当事者と支援者でつくる一般社団法人Spring(スプリング)の金子深雪さんはこれについて「罪名を明確に『不同意性交等罪』とつけるべきだ」と指摘。「『同意とは何か』を一人ひとりが理解するためには、国が『性的同意』の概念を広く周知する必要がある」と訴えました。

 中学卒業前から大学時代まで中学校教師から性被害を受けたフォトグラファーの石田郁子さんは、強制性交等罪などの時効が5年延びる点について「前進ではあるが、十分ではない」と指摘。「若年で被害を受けた場合、それを被害だと認識するまでに時間がかかることが多い。被害の実態を見て、被害者に寄り添った法改正を」と求めました。

 ジェンダーやフェミニズムについてSNSで発信している会社員の笛美さんは、「『同意のない性交』が犯罪であることを明確に法律に示し、被害者を救う法律が求められている」と訴えました。

 要綱案は前出のほか、処罰要件として「暴行・脅迫を用いること」「薬物を摂取させること」「社会的関係上の地位に基づく影響力による不利益を憂慮させること」など8項目を列記しました。

 これについてヒューマンライツ・ナウの伊藤和子副理事長(弁護士)は、従来は裁判官の判決にばらつきがあったとして「8項目が示されたことはよかった」と評価。一方、今後の課題として「裁判官の裁量の余地のないものにできるかどうか」が重要だとの認識を示しました。


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