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2023年2月4日(土)

きょうの潮流

 美しかった都は死者の都と化しました。血で血を洗う、けたちがいの人的被害。「ネズミの戦争」と形容された凄絶(せいぜつ)な市街戦。もはや街でも戦場でもなく、そこは地獄でした▼ロシア南部の都市ボルゴグラードは、かつてスターリングラードと呼ばれました。この「スターリンの町」をめぐる攻防は独ソ戦の帰すうを決し、第2次世界大戦の決定的な転換点のひとつとなりました▼「われわれはふたたびドイツ戦車の脅威に直面している」。2日、攻防の地の80周年記念式典で演説したプーチン大統領。ドイツがウクライナへの主力戦車の供与を決めたことを念頭に「ナチズムが現代的な形を装い、わが国の安全を脅かしている」と強調しました▼1941年6月、ソ連に侵攻したナチスドイツの戦車連隊は驚異的な進撃でクレムリンの近くまで攻め込みました。ソ連が反転攻勢に転じ45年まで続いた激戦は、人類史上最もむごいたたかいとなりました▼ナチス側は対ソ戦を「世界観戦争」とみなし、ヒトラーは「みな殺しの闘争」と呼びました。一方の独裁者スターリンは、「大祖国戦争」と位置づけ、ソ連軍の機関紙には「ドイツ軍は人間ではない」の文字がおどりました(大木毅著『独ソ戦』)▼絶滅戦争の惨禍。いままた祖国を守るためと戦意をあおり、ウクライナ侵略を正当化するプーチン大統領は核兵器の使用さえちらつかせています。世界観や価値観が互いに異なることを戦争に結びつけない。悲惨な歴史の教訓がそこにあるはずです。


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