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2023年2月3日(金)

戦争になれば「厄介者」

鍼灸院営み30年・新年に入党し視覚障害者の支部で活動 利根逸男さん(73)=仮名=

 「障害者は弾よけにもならない」―。新年に日本共産党に入ったばかりの男性は、盲学校時代の担任教員が戦時中の徴兵検査で言われたこの言葉を最近よく思い出すといいます。物価高騰で苦しい暮らしを大軍拡でさらに追い詰める岸田自公政権に「僕らの先輩が苦労した戦時中のような時代にしたくない」と語る思いは―。(津久井佑希)


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(写真)「声のしんぶん赤旗日曜版」を聞く利根逸男さん=1月18日、東京都内

 下町情緒が残る東京都内の街に鍼灸(しんきゅう)院を開院して約30年の利根逸男さん(73)=仮名=。視覚障害があります。体力が落ちた最近は、日に1~2人のなじみ客を中心に営業しています。

 「政府が戦争に引っ張っているように感じる」。敵基地攻撃能力保有を明記した「安保3文書」を閣議決定し大軍拡を進めようとする岸田政権に憤ります。

軍拡に危機感

 「米食い虫」「ごくつぶし」などと言われ、戦時中に多くの差別を受けた障害者。盲学校時代、視覚障害のある教員の中には戦争体験者もいたといいます。

 「戦争が始まれば多くの障害者が出る。軍隊が大きくなれば、役に立たない障害者は厄介者になる。また同じ事態が来そう」と大軍拡に大きな危機感を抱いています。

 生まれつきの弱視で視力は0・06ほど。数十センチまで近づけば目の前の影が人だとはわかりますが、表情や性別まではわからないといいます。点字のほか印刷された文字は拡大機を、パソコンに表示された文字は音声読み上げソフトを使って読みます。

 「エビグラタン3個入り600グラム」。音声読み上げソフトは宅配食材の注文画面をそこまで読み上げると止まりました。

 「なぜか値段は読み上げてくれない。単価の値上がりがわからないまま注文するから、最近の合計金額(の高さ)には毎回びっくりする」。届いた宅配食材を冷蔵庫にしまいながらため息をつきます。

 買い物時などはヘルパーが同行しますが、月40時間しか使えません。

 「物価高のいま、“見える人”は安売り店を選んで買えるけど僕らはできない。軍拡したら、僕らの生活にさらにしわ寄せが来る」

ここが正念場

 そんな思いを抱いているときに、入党の誘いを受けました。声をかけたのは東京視覚障害者協会(東視協)副会長の小日向(こひなた)光夫さん。利根さんは30代で入会し要求活動や駅点検などで共産党の議員らと一緒に取り組んできました。

 「外から見ているだけでなく入党した方が良いと思った。ここで共産党に強くなってもらわないと、本当に生きづらくなるから」

 視覚障害者にとって慣れない場所への移動は困難が多く、社会参加が制限されます。演説会にも容易には行けません。視覚障害者の仲間でつくる党支部の会議は月2回です。

 「僕らは人と接する機会が少ないけど、支部会議で社会参加できる。支部長は『デイサービス』と言っていた」と笑います。

 毎週楽しみにしているのは「声のしんぶん赤旗日曜版」。「全部聞く。僕らは情報源が少ないからありがたい」

 まもなく統一地方選。「活発には動けないかもしれないけど、知り合いへの電話かけ程度ならできる。ここ2、3年が正念場だからね」

 日本は新しい政治を生み出す「夜明け前」です。「夜明け前」を「夜明け」に変えよう―。新しく入党した人の思いや人生を紹介します。「暁(あかつき)」は「夜が明けようとするとき」(広辞苑第7版)です。


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