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2023年2月3日(金)

主張

政府の子育て支援

本気で取り組む姿勢みえない

 子ども子育て政策をめぐる岸田文雄政権の姿勢に国民が不信を強めています。施政方針演説(1月23日)で「最重要政策」と表明しながら、具体策をほとんど語らず、子育て世代が切望している教育費軽減の課題は抜け落ちました。

 国会での質疑でも、児童手当の所得制限撤廃について従来の反対した立場を改めるのか明言しません。産休・育児休業中にリスキリング(学び直し)対策を強めるとの答弁を行い、「実情が分かっているのか」と厳しい批判を浴びました。首相が強調する「次元の異なる少子化対策」の内実が厳しく問われています。

所得制限の撤廃は不可欠

 首相は1月4日の年頭記者会見で「異次元の少子化対策」を打ち出しました。基本的方向として(1)児童手当を中心にした経済的支援強化(2)子育て家庭を対象にしたサービスの拡充(3)働き方の改革―を示しました。しかし、施政方針演説では、中身は4月に発足する「こども家庭庁」で体系的にまとめるとして踏み込まず、予算の「倍増」を打ち出したものの、6月に決める骨太方針までに大枠を示すと先送りしました。岸田政権は大軍拡では5年間で43兆円と数字を示し、積極的に推進していることと比べ違いすぎます。政治の方向が根本的に間違っています。

 首相が課題に示した児童手当も方針は不明確です。自民党の茂木敏充幹事長は1月25日の衆院代表質問で所得制限の撤廃を求めました。これまで自民党は、子育ては親や家族が担うべきという主張にもとづき、児童手当の拡充や所得制限の撤廃にたいし「ばらまき政策」と猛烈に反対してきました。

 茂木氏の代表質問は、自民党の立場に道理がなかったことを浮き彫りにしています。茂木氏は同月29日のテレビ討論で「反省する」と述べましたが、自民党の妨害で多くの子育て世帯に経済的負担を強いてきたことは重大です。

 しかし、首相は茂木氏の代表質問は「一つの意見だ」として撤廃を明言しません。西村康稔経済産業相も1日の衆院予算委員会で、撤廃に否定的答弁をしました。子育てを親や家庭の「自己責任」としてきた立場に固執するのでなく、所得制限を撤廃し、支給対象も18歳まで引き上げるべきです。

 首相が産休・育休中の人へのリスキリングを「しっかりと後押ししていく」と答弁したことは、必死に子育てをしている人たちの思いとあまりにもかけ離れています。国民の怒りが集中し、「希望する人に」と弁明したものの、出産や子育てに対する無理解さを示した事実は消えません。

教育無償化を柱に据えよ

 政府の意識調査では、若い世代が最も重要な育児支援策と答えたのは「教育費の支援、軽減」で69・7%にも上っています。中心に据えるべき対策はここです。世界最高水準の学費、若者に借金を負わせる貧弱な奨学金制度などにこそ抜本的な改善のメスを入れなければなりません。学校給食は国の責任で無償化すべきです。

 日本を「少子化社会」にした根源の一つがジェンダー差別です。家父長制などを美化してきた自民党政権の下で女性の声が届かない政治が続いてきました。安心の子育て社会の実現に向け、ジェンダー平等を推進するための社会システムの改革・転換が急務です。


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