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2023年1月30日(月)

主張

クーデター2年

ミャンマー国民の悲願 連帯を

 2021年2月1日にミャンマー国軍がクーデターを起こして間もなく2年になります。民政復帰を求める不屈のたたかいが続いています。国軍は8月に総選挙を実施すると宣言していますが、民主的に選ばれた国民民主連盟(NLD)政権を武力で転覆した国軍に正統性はありません。拘束した政権指導者、市民を解放し、国民が求めている民政に返すことが唯一の解決方法です。

民主化求める民意は明確

 民主派の国民統一政府(NUG)や少数民族勢力の抵抗闘争は広く国民に支持され、弾圧が苛烈(かれつ)を極めています。人権団体によると、これまでに約2900人が殺害され、1万3000人以上が拘束中です。国軍はたたかいを続ける地域に空爆を含む激しい武力攻撃をかけ、多くの死傷者、避難民が出ています。

 民主化は数十年にわたる国民の悲願です。国軍は1962年にクーデターで政権を握り、半世紀にわたって独裁支配しました。NLDが2015年の総選挙で圧勝して政権に就いたことで、ようやく民主化が本格化し、強大な力を持つ国軍を相手に、政府が粘り強く対話を続けてきました。

 20年11月の総選挙でNLDがさらに議席を増やしたことは、民主化の願いの強さを示しています。クーデターに反対するたたかいを暴力で押しつぶせないのも、確固とした民意のあらわれです。

 国際社会の支援のもとで進められてきた民主化を葬り去ることを許さない動きも強まっています。

 国連安全保障理事会は22年12月、ミャンマー情勢を巡って決議を採択しました。クーデター後、同国について法的拘束力を持つ安保理決議があがったのは初めてです。中国、ロシア、インドは棄権しました。

 決議は、暴力の即時停止、民主化指導者アウンサンスーチー氏ら「恣意(しい)的に拘束された」すべての人の解放、人権尊重、平和的解決に向けた東南アジア諸国連合(ASEAN)の中心的役割を明記しました。「ミャンマー人民の意思と利益に従う民主的な制度、プロセスを支持する必要性を強調する」として民意に基づく解決を求めたことは重要です。

 ASEANはクーデター後、国軍と「5項目合意」を交わしました。暴力の即時停止、国民の利益にかなう平和的解決に向けた全当事者の対話、ASEAN特使による対話の仲介など平和的解決の基礎となるものです。国軍は合意を履行せず、約束をほごにする行為を繰り返しています。スーチー氏とASEAN特使の面会も拒んでいます。

国際社会の支援強めよう

 ASEANは22年11月に合意の履行を国軍に強く迫る文書を採択しました。「近くすべての利害関係者と関係を持つ」として、NUGや少数民族勢力と接触する姿勢も示しました。安保理決議はASEANの努力を支持しており、国軍は孤立を深めています。

 ミャンマー国民の願いに沿って民主化に復帰せよとの国際世論を広げることが急務です。

 日本政府はミャンマーへの新規の政府開発援助(ODA)は停止しましたが、執行中のものは中止せず、国軍に手を貸す行為と批判されています。ことし安保理非常任理事国を務める日本の姿勢が問われます。


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