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2023年1月28日(土)

横須賀石炭火発を追認

東京地裁 環境アセス簡略不問

「不当判決」原告控訴へ

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(写真)「不当判決」に抗議する横須賀石炭火力行政訴訟原告・弁護団と支援者ら=27日、東京地裁前

 神奈川県横須賀市で今年稼働予定の石炭火力発電所(事業者JERA)を巡り簡略化した環境影響評価(アセスメント)の手続きで国が計画を認める通知を出したのは違法だとして、周辺住民48人が通知の取り消しを求めた裁判の判決が27日、東京地裁でありました。品田幸男裁判長は通知を取り消しても「実効的な救済は困難」として原告の訴えを却下。原告側は「不当判決だ」として控訴予定です。

 JERAは東京電力フュエル&パワーと中部電力が出資した企業。原告側によると事実上廃止状態であった旧火力発電所を取り壊して新しい火力発電所を建設しています。

 原告側は本来発電所の新設としてアセスすべきところ、国が設備更新としてアセスを簡略化したと指摘。またJERAが二酸化炭素(CO2)の排出量を旧火力発電所による50年前の排出量と比較して「削減」としているなどと主張しました。

 判決は、国のガイドラインを満たしておりアセスを簡略化しても問題はないと判断。排出量を比較する時期は決められておらず、CO2の排出についてもJERAが法律に基づいて可能な範囲で低減するものだとして原告の訴えを却下しました。また気候変動への影響は同発電所によるものではなく、他の原因と相まったものだとしてJERAの責任を問いませんでした。

 判決後の会見で、小島延夫原告弁護団長は「簡略化はガイドラインの条件を満たしているとしているが、50年前のデータとの比較は無理がある。またCO2の影響は他の原因と相まっているとしながら、JERAの発電所単体では影響しないというのは論理的におかしい。気候変動に関するいろんなデータを出したが、それらに判決が触れなかったのは残念」と批判。鈴木陸郎原告団長は「国の主張を論破してきて負けるはずがないと思っていた。認め難いことで、控訴して石炭火力の操業を止めたい」と述べました。

 新設される火力発電所(1、2号機)の発電容量は計130万キロワット。神奈川県の排出量の1割(2016年)にあたる726万トンのCO2を排出します。


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