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2023年1月24日(火)

きょうの潮流

 「これで生まれ故郷に帰れる」。時代の大きな転換点を戦地でむかえた若者は、そのとき、からだが燃えるように熱くなったといいます。後に唯一無二と称された俳優の三國連太郎さんです▼今年は生誕100年、没後10年です。「人間の根源を問いあげる役者」として、その圧倒的な存在感は今もなお人びとの記憶に刻まれています。中国の漢口で知った終戦は人生の転機、そしてスタートラインとなりました▼「あと1年、戦争が続いていたら、生きていなかったかもしれない」。多くの仲間や同級生を失った三國さんは「歴史をゆがめたものには出ない」ことを生涯の信念としました。無数の足跡を消し去った理不尽な権力への抵抗でした▼「われわれは、ふたたび歴史の分岐点に立っています」。ようやく開いた国会で岸田首相が演説しました。近代日本の転換点となった明治維新と、その77年後の大戦の終戦。そしてまた77年たった今、新たな方向に足を踏み出さなければならないと▼その道は大軍拡と他国を攻撃する国になろうとしている逆戻り。世界に先駆けた憲法のもとで歩んできた平和の道のりから逸脱し、またしても戦火を呼び込もうというのか。まさに歴史の分岐点です▼戦争というのは、人間が人間を殺すことが許される、狂気の世界と話していた三國さん。孫には銃をかつぐことのない人生を、と言い残していました。戦後の日本にあふれた平和を守る決意。それを示すことが今を生きるわれわれの責任でもあるはずです。


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