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2023年1月23日(月)

主張

41年ぶりの物価高

暮らしを守る対策は猶予なし

 2022年12月の物価はさらに高騰し、全国消費者物価指数は生鮮を除く総合で前年同月比4・0%と41年ぶりの高い伸びでした。ガス、電気、食品をはじめ、生活に欠くことのできない品目の値上がりが特に深刻です。本紙が試算した家計の負担増は、2人以上の世帯で年間14万3000円に上ります。国民の暮らしを守る対策は一刻の猶予もなりません。

賃上げに政治が役割を

 緊急に求められているのが物価上昇を上回る賃上げです。岸田文雄首相は財界・大企業に賃上げを要請しますが、大企業がため込んだ利益を賃上げに活用する内部留保課税は拒んでいます。

 大企業に“お願い”するだけの腰の引けた姿勢では、大幅な賃上げは実現できません。政治の役割が不可欠です。

 労働者の7割を雇用する中小企業の賃上げは決定的に重要です。23年度予算案に計上した中小企業の賃上げ支援はきわめて不十分です。社会保険料の雇用主負担の軽減は、地方の最低賃金審議会からも要望が出ている重要な支援策です。岸田政権は後ろ向きな態度を改め、要求に応えるべきです。

 大軍拡は社会保障や子育て支援を圧迫し、物価高から暮らしを守るうえで最大の障害です。厚生労働省は23年度の公的年金支給額を発表しましたが、伸びは物価上昇率にとても追いつかず、実質マイナスとなります。高齢者の命の綱である年金を実質的に減らすなど到底許されません。

 物価全体を引き下げる消費税減税もますます必要です。

 日本銀行による「異次元の金融緩和」政策は、円安・物価高を加速させています。

 22年度の物価上昇率の見通しは3%です。エネルギー関連は2桁の上昇率が続いています。しかし日銀は18日の金融政策決定会合で「23年度半ばにかけて2%を下回る水準までプラス幅を縮小していく」と予想して2%を超える物価上昇が「安定的に」続くようになるまで、大規模な金融緩和を継続することを決めました。物価急騰への対応が求められているときに、まったく逆向きの政策です。

 物価はさらに上昇が予想されています。企業同士で取引する際の物価を示す企業物価指数は22年12月時点で前年同月比10・2%の大幅上昇でした。円ベースでの輸入物価は22・8%も上がっており、依然として円安が国内物価を押し上げています。

 企業物価は消費者物価に波及する恐れがあります。日銀は円安・物価高への対応こそ強めなければなりません。

緩和転換する体制築け

 異次元緩和は株価の上昇をもたらし、大企業・富裕層を大もうけさせました。その一方、賃金は上がらず、物価高で格差が広がっただけでした。

 この政策は10年前の13年1月22日、当時の安倍晋三首相が日銀に結ばせた政府・日銀共同声明にもとづいて導入されました。日銀とともに政府の責任は重大です。

 黒田東彦日銀総裁の任期は4月に終了します。政府は23日に召集される通常国会に後任の人事案を示します。国民に苦難をもたらし、破綻した金融政策を真剣に総括し、国民生活の安定という日銀本来の使命を取り戻す体制が求められます。


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