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2023年1月21日(土)

年金 最大0.6%削減

物価高騰が生活直撃。なのに―

23年度 「マクロスライド」発動計画

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 2023年度の公的年金額について、厚生労働省は20日、物価上昇分より低い伸び率に抑えて、実質0・3~0・6%削減する計画を発表しました。物価が上がっても年金を上げない「マクロ経済スライド」を3年ぶりに発動しようとしているためです。

 発動を許せば、物価上昇に見合った増額改定となるところ、実際の改定率は物価上昇より低くなります。たとえば、年金を受け取りはじめる67歳以下の人では、国民年金は、本来の改定額から381円削減されて満額で月6万6250円(前年度比1434円増)となります。厚生年金は、夫婦2人の標準世帯で、1260円削減されて月22万4482円(同4889円増)になります。

 物価の値上がりに追いつかない年金額改定では、物価高騰が長期化するもとで、少ない年金収入でやりくりに苦しむ高齢者・国民の生活がいっそう悪化することは必至です。

 年金額の改定は毎年度、前年の物価と、過去3年間の賃金(名目手取り賃金)の変動率を指標にして、改定のルールに基づいて、本来の改定率を定めて行われます。

 厚労省によると、23年度の指標となる物価変動率はプラス2・5%で、賃金変動率はプラス2・8%でした。そのため、本来の改定率は、67歳以下の人には賃金変動率のプラス2・8%が、すでに年金を受け取っている68歳以上の人には物価変動率のプラス2・5%が適用されます。いずれも、物価上昇に見合った増額となる改定率です。

 ところが、厚労省は物価も賃金も変動率がプラスになったことを理由に、「将来世代の年金の給付水準を確保するため」として「マクロ経済スライド」を発動し、発動できなかった21~22年度分とあわせて0・6%を本来の改定率から差し引こうとしています。

 これを許せば、実際の改定率は、67歳以下の人では物価変動率より0・3%低い2・2%に、68歳以上の人では同0・6%低い1・9%となり、公的年金額は、物価の上昇を下回る実質削減となります。

 マクロ経済スライド 「年金財政の収支を均衡させる」という名目のもと、毎年度の公的年金額の改定率を、物価や賃金の伸び率よりも低く抑えることで、公的年金額を目減りさせていく仕組み。自公政権は、この仕組みによって、2040年時点で本来なら25兆円となるはずの基礎年金の給付額を7兆円削減し、18兆円に抑え込もうとしています。


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