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2023年1月19日(木)

米軍、空港での訓練届け出

沖縄・下地島 県は拒否、使用断念

日米、民間空港の軍事利用狙う

 沖縄県は17日、在沖縄米海兵隊が県が管理する下地島空港(同県宮古島市)を今月末に訓練で使用するため、空港使用届を提出していたことを明らかにしました。県は18日、米軍に使用自粛を強く要請。同日午後、米軍は使用を断念しました。11日(日本時間12日)に開催された日米安全保障協議委員会(2プラス2)では、「有事」をにらみ、「空港、港湾の柔軟な使用」で一致。米軍が使用届を県に提出したのは直後の13日でした。


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(写真)下地島空港=沖縄県宮古島市(沖縄県提供)

 県によると、米軍は31日午後0時半~同1時半までの1時間に米軍普天間基地(同県宜野湾市)との間を行き来する予定で、同基地所属のH1ヘリ2機、CH53大型輸送ヘリ2機を使用するとしていました。米軍による下地島空港の使用は給油目的で使用した2006年以来17年ぶりで、訓練目的での使用の届け出は初めてと見られます。

 米軍は日米地位協定第5条に基づき、国内の民間空港・港湾の使用が認められています。一方、下地島空港をめぐっては、琉球政府(当時)と日本政府が1971年に交わした「屋良覚書」で、「民間機以外に使用させるよう国が県に命じる根拠もない」と明記。同覚書は現在も有効性を認められています。県も屋良覚書を改めて示した上で、「米軍においては、緊急時以外の下地島空港の使用を自粛するよう強く要請します」と訴えました。

 民間空港・港湾の軍事利用には、安保3文書でも繰り返し言及。浜田靖一防衛相は昨年12月8日の衆院安保委員会で、下地島に加え、成田空港(千葉県成田市)に言及しました。同空港は、1972年の取り決めで軍事利用が禁じられています。

 米軍は日本が戦場になり、米軍の航空基地が攻撃されることを想定し、航空機を民間空港に分散配備する戦略を具体化しています。今後、民間空港の軍事利用が全国に波及する危険があります。

国民より日米同盟優先

 沖縄国際大学教授の前泊博盛さんの話 屋良覚書は下地島空港を軍事利用させないものであり、当然、米軍が使用することはできません。それが反故(ほご)にされてしまったら、この国は法治国家として体をなしません。政府はむしろ下地島空港の国有化の動きさえ見せており、国民よりも日米同盟を優先する姿勢が垣間見えます。


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