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2023年1月17日(火)

きょうの潮流

 信じられない光景が記憶からよみがえってきます。目の前に続く横たわった高速道路。その爪痕は地震のすさまじさとともに、防災のあり方を問うていました▼阪神・淡路大震災から28年を前に、阪神高速道路の「震災資料保管庫」で当時の橋脚や大きくゆがんだ鋼材などが公開されています。被災の継承と防災意識の向上が目的とされ、学びに訪れた見学者のなかには突然日常が奪われる恐怖を感じたという人も▼経験していない市民が増え続ける被災地では風化させないためのとりくみはさまざまに。きょう17日に神戸市で開かれる追悼のつどいでは、毎年灯籠を並べて描かれる文字に「むすぶ」を公募から選びました▼「人と人、場所と場所、思いと思いを結ぶことによって伝えていこう」と主催者。だれもが被災者になりうるいま、大きな災害を経験した場所やそこで生きる人びとを「むすぶ」ことで、知恵や教訓を伝えていこうという思いが込められているそうです▼実際に体験や復興への道のりを交流する被災地同士の学び合いも続けられています。自然災害といってもそこには必ず「人災」の側面があること、被災者や草の根の力で行政の支援をかちとってきたことも、大事なつながりとして▼災害列島といわれ、激甚化していくこの国で防災は政治の中心課題です。いくら大軍拡に財源を注いでも、国民の命を守るどころか危険にさらすだけです。被災地が伝え、発信し続ける合言葉は―。被災者を置き去りにしない、人間の復興を。


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