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2023年1月17日(火)

貧富の差 拡大

コロナ禍で新たな富

富裕層上位1%に2/3

国際NGO「公正な税制必要」

 国際NGOオックスファムは16日、新型コロナウイルスの発生以降に生じた世界の富の3分の2が富裕層上位1%に集中していると報告書で明らかにしました。過去最大規模の貧富の格差に警鐘を鳴らし、各国政府に公正な税制を即時実現するよう求めています。

 「生き残る超富裕層」と題する報告書は、各国政財界トップが出席する世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議、スイス東部)の初日に合わせて公表されました。

 報告書によると、2020年以降に新たに生じた世界の富、42兆ドル(約5360兆円)のうち26兆ドル(約3320兆円)が富裕層上位1%に集中し、1日あたり27億ドル(約3445億円)資産を増やしていると試算。富裕層と1日1・5ドル以下(約192円)で暮らす極度貧困層が同時に増加している現在の傾向は、過去25年で初めてだといいます。

 世界的に食費と光熱費が高騰した2022年には大手食品、エネルギー企業が例年の2倍以上の収益を上げ、大半を株主に分配していたと指摘。労働者17億人の賃金が物価高騰に見合わず苦境を強いられており、特に貧困層の過半数を占める女性への影響が深刻だと訴えています。

 オックスファムは、富裕層に有利な法人税減税、付加価値税や消費税など低中所得層への負担が重い逆進的な税制を批判。富の偏在は経済成長の鈍化、政治と報道の腐敗、民主主義の弱体化、政治の分極化につながったとして「惨事に便乗して暴利をむさぼる富裕層への税制が必要だ」と指摘しました。

 オックスファムは総資産10億ドル以上の「ビリオネア」など世界の富裕層への最大5%課税で年間1・7兆ドルの税収が捻出でき、20億人が貧困から抜け出せると試算。富裕層の不動産や有価証券などへの課税も提案しています。


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