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2023年1月16日(月)

主張

大震災の教訓

被害拡大を防ぐ政治に転換を

 今年は、1923年9月1日に起きた関東大震災から100年の節目です。今月17日は阪神・淡路大震災の発生から28年にあたり、さまざまな追悼行事が予定されています。3月は東日本大震災から12年です。おびただしい犠牲と被害を出した大震災の痛苦の教訓に学び、災害に強い国土づくりを進めなくてはなりません。南海トラフや日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震などの発生の可能性は高く、活断層が各地に存在する日本列島ではいつどこで地震が起きてもおかしくありません。国民の命と暮らしを最優先に守る政治の役割が極めて重要になっています。

人口集中が悲劇招く危険

 1995年の阪神・淡路大震災は、兵庫県淡路島北部を震源とするマグニチュード7・3の大きな揺れが約64万棟の住宅を損壊し、6434人もの命を奪いました。地震直後に亡くなった人の9割は家の中で、ほとんどは家屋倒壊での犠牲でした。建物耐震化の遅れの打開が命を救う上で緊急課題であることを浮き彫りにしました。

 阪神・淡路大震災の被災者の粘り強い運動は、個人の補償をしないという国の姿勢を動かし、「被災者生活再建支援法」を制定させました。しかし、支援額は十分でなく、対象も限られています。被災住宅の改修・再建をしっかり支えることができる制度へ抜本的に拡充することが急がれます。過酷な避難生活の中で命が失われる「災害関連死」を防ぐための対策も引き続き大きな課題です。

 関東大震災の死者・行方不明者は東京、神奈川など1都6県で約10万5千人にのぼりました。神奈川県沖を震源域とするマグニチュード7・9の激しい揺れで人口密集地の多くの木造家屋が倒壊し、台風の影響による強風が火災による被害を拡大させました。

 当時の東京周辺は急速な都市化で人口が急増していたのに、災害への備えを欠いていました。無秩序なまちづくりや乱開発が、いかに悲劇的な事態を引き起こすかをまざまざと示しました。

 現在の首都圏の人口は100年前とはけた違いに増加しました。タワーマンションなど建物の高層化は進み、地下にも生活や営業の場は広がっています。一方で雑居ビルや老朽木造住宅も混在しています。災害への備えを二の次にした開発ではなく、必要な防災の設備や体制を整えたまちづくりへと切り替えることが求められます。

 気候変動の影響による豪雨や大型台風などと重なり、一層深刻な震災になる恐れも現実のものになっています。あらゆる事態を想定し、住民の命を守り抜く対策を構築していくことが必要です。

安全置き去りの原発回帰

 2011年3月11日発生の東日本大震災は、日本の観測史上最大のマグニチュード9・0のすさまじい揺れと巨大津波とともに、東京電力福島第1原発事故により広域な複合災害となりました。原発事故の影響で多くの福島県民は故郷に戻れていません。被災地全体の復興も途上です。その中で岸田文雄政権が復興特別所得税を大軍拡予算に流用する方針を打ち出し、批判を浴びています。

 原発の運転期間延長をはじめとする「原発回帰」の岸田政権の方針は、地震多発国の現実を無視した逆行です。国民の命を危険にさらす政治の転換が急務です。


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