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2023年1月13日(金)

主張

日米2プラス2

同盟の危険な変質許されない

 日米両政府が11日、米ワシントンで外交・軍事担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)を開きました。共同発表によると、日本側は会合で、昨年末に決めた「国家安全保障戦略」など安保3文書をめぐり「新たな戦略の下、防衛予算の相当な増額を通じて、反撃能力を含めた防衛力を抜本的に強化するとの決意」を述べ、敵基地攻撃能力の保有など大軍拡を約束しました。これに対し米側は「同盟の抑止力を強化する重要な進化として、強い支持」を表明しました。日米同盟をかつてなく危険なものに変質させようとする企てです。

敵基地攻撃で協力深化

 共同発表は、中国について「自らの利益のために国際秩序を作り変えることを目指して」いると批判し、日米同盟にとっての「深刻な懸念」であり、「最大の戦略的挑戦」だと指摘しました。台湾問題では「台湾海峡の平和と安定の維持の重要性」を強調しました。

 これに対し日米は今回の2プラス2で「戦略的競争の新たな時代において勝利する態勢をとるための現代化された同盟のビジョンを提示した」と述べています。

 その大きな柱の一つが、「反撃能力」という名で岸田文雄政権が安保3文書で初めて打ち出した敵基地攻撃能力の保有です。同文書は、相手国領内にあるミサイル発射拠点などを直接たたく敵基地攻撃で「日米が協力して対処する」としていました。

 共同発表では、日本が「地域の平和と安定の維持に積極的に関与する上での役割を拡大する」とし、核兵器を含めた「米国の拡大抑止」は「日本の能力によって強化される」としています。その上で「米国との緊密な連携の下での日本の反撃能力の効果的な運用に向けて、日米間の協力を深化させる」ことを確認しました。

 米国の対中軍事戦略に敵基地攻撃能力を持つ日本を組み込み、日米の軍事一体化を一層進めようとするものです。

 さらに重大なのは、共同発表が「日本における米軍の前方態勢」を「最適化」するとし、在沖縄米海兵隊の一部を2025年までに「海兵沿岸連隊(MLR)」に改編する方針を明記したことです。

 MLRは長射程のミサイルを装備し、南西諸島やフィリピンなどの島々に多数の小規模部隊を迅速に展開させ、中国軍の艦船や航空機を攻撃する「遠征前進基地作戦」(EABO)の中核を担います。

 共同発表は「日本における最適化された米国の戦力態勢が、南西諸島を含む地域における強化された自衛隊の能力及び態勢とともに、同盟の抑止力及び対処力を実質的に強化する」としています。

 自衛隊が敵基地攻撃能力として導入しようとしている国産の長射程ミサイルや米国製巡航ミサイル・トマホークなどと合わせて、沖縄をはじめ南西諸島で著しい軍事力の強化が図られることになります。

日本の破滅につながる

 軍事に軍事で対抗することは、戦争のリスクを高めることになります。米国の戦争に日本が参戦し敵基地攻撃を行えば、相手国による報復攻撃は避けられません。その標的は、南西諸島をはじめとする日本の国土です。日本の破滅につながるたくらみを許してはなりません。


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