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2023年1月8日(日)

生活保護停止処分取り消し求める裁判

車は生活用品 認めて

三重・鈴鹿

写真

(写真)集会で発言する芦葉弁護士(右)ら=7日

 三重県鈴鹿市で生活保護を利用していた2世帯が昨年、車の保有や利用をめぐり、福祉事務所の指導指示に従わなかったとして保護を停止された問題で、停止処分の取り消しを求めて3人が裁判を起こしました。7日、同裁判を支える会の結成集会が津市内で行われ、原告が勝訴への思いを語りました。

原告が訴え

 同裁判の原告はいずれも身体障害があり、通院や買い物など日常生活を送るのに車は欠かせません。国は原則、生活保護利用で車の保有は認めていませんが、障害者の通院時の利用など限定的に認めています。

 鈴鹿市は、ある世帯に対して、車の保有は認めつつ、運転記録表の提出と利用を通院に限定しました。運転記録表は、使用時間や経路、用件などを記載します。

 提出を求められた男性は「とにかくプライバシーの侵害としかいいようがない」と批判。最寄りのスーパーは自宅から1キロ以上離れている上、途中に歩道が無くなる箇所もあります。歩行にはつえが欠かせません。「車通りも激しく歩くだけで怖い」と話しました。

 保有を認めず廃車を前提にした車の見積書の提出を求められた女性は、通院にタクシーを使うよう同市に言われています。「タクシーは数日前に予約しないといけない。(時間帯によっては)配車に時間がかかり3時間以上も待ったこともある」と述べ、「車の保有が認められるまで、がんばる」と決意を表明しました。

 弁護団の芦葉甫弁護士は指導指示について、生活保護法で「必要の最少限度」にしなければならないとあり、同市の対応はこれを超える違法なものだと指摘しました。

 車を保有する世帯の割合が7割以上の自治体が大多数を占めています。太田伸二弁護士は、地方では車がないと生活できず、生活保護の利用にあたり、車か保護かの「2択を迫られる」と指摘。これだけ普及していれば「生活用品として車の保有を認められるべきだ」と話しました。

 また、自治体がさらに独自の制約を加えているとし「(勝訴して制度)全体の改善につなげなければいけない」と語りました。


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