2023年1月7日(土)
きょうの潮流
年賀状に描かれた愛らしいウサギたち。とりどりのデザインに「飛躍」や「ジャンプ」の文字がおどります。干支(えと)に込めたメッセージに、懐かしい顔が浮かんできます▼十二支だけが話題になりがちですが、ほんらい干支は甲乙丙などの十干(じっかん)と組み合わせたもの。60通りでひと巡りすることから還暦の祝いとなります。今年は十干の最後にあたる癸(みずのと)と、十二支4番目の卯(う)が合わさった癸卯です▼癸は大地を潤す雨露や霧に例えられ、発芽を準備し待つ状態。卯は草木が地上にもえだし、地面をおおうことを表すといいます。厳しい冬が去って春の兆しが訪れるように▼年頭の記者会見でそれをもちだしたのが、岸田首相です。「去年までのさまざまなことに区切りがつき、次の繁栄や成長につながっていくという意味がある」として、新たな挑戦の1年にしたいと。昨年末までのわずか2カ月余で4人の閣僚が辞任に追い込まれた前代未聞の失態もなきことにして▼統一協会との根深い関係や政治とカネの問題、国政私物化のオンパレード…。何一つ、けりはついていません。そのうえ憲法破り、生活破壊の戦争国家づくりにまい進するとは。喜んでいるのは片棒を担いでもらう米国だけです▼話を戻せば、古来ウサギは神の使者とされ、予言する能力を持っていたとの言い伝えもあります。どんな年を描くのか。それをデザインするのは、明るい未来を展望し、歴史を切り開く、たしかな力です。癸卯は「きぼう」とも読みます。








