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2023年1月5日(木)

きょうの潮流

 冒頭の文句「たたかひは創造の父、文化の母である」で知られた陸軍省発行のパンフレット「国防の本義と其強化の提唱」。「たたかひ」とは、当時「事変」とごまかしていた戦争のことです▼陸軍省は、満州事変が始まった1931年から日中戦争開始の37年まで、124種のパンフレットを発行し、広報活動を展開。事変開始年に発行した中には、“先制攻撃”論がありました▼満鉄線の爆破をデッチ上げ、中国東北部へ一気に侵略・支配を進めた日本軍。兵力優勢の敵に対する場合には、「敵に先んじて機を制し、これを圧倒する事が秘訣(ひけつ)」とし、「いたずらに自滅を待つに等しき運命に陥る」わけにいかないと正当化しました▼34年以降は、軍備や国防が重点になります。国防経費は、国民生活に脅威を与えず捻出できる経済組織を設けるとした構想は早々に立ち消えになり、国防に必要な経費は「国民臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」してでも捻出する決意が絶対に必要、と説きました▼意図的に中国の「暴挙」「列強の重圧」などと危機感をつくり出しては軍事費を毎年増額。37年度には財政全体に占める直接軍事費の割合が7割に、事変前の2・4倍になりました▼パンフレットを詳しく分析した歴史家・江口圭一氏は「日中戦争からアジア太平洋戦争にいたる時期に打ちだされた対外膨張正当化の論拠・論理のほとんど全てがすでに姿を現わしていた」と総括しました。日本を破滅に導いた同じ論理が、岸田内閣の大軍拡構想のなかに見え隠れしています。


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