2023年1月3日(火)
きょうの潮流
辞書に1羽、2羽と数えるのは鳥やウサギとあります。ウサギについては、鳥をとるように網をかけて捕るからとか、鳥のような味がするからなど、諸説あるようです▼真偽のほどは確かではありませんが、動物生態学者はかつてこんな説を紹介しています。「四足獣を食うことが禁じられていた徳川時代に、イノシシをヤマクジラといって食ったように、ウサギは“ウ”と“サギ”で、鳥の仲間だといいくるめたのだともいわれている」(宮地伝三郎)▼ところで日本列島に古くからすんでいるのはノウサギ。草原で単独生活する習性があります。小学校などで飼っているカイウサギとは違います。歴史をさかのぼれば、縄文時代の貝塚からノウサギの骨が出土するといいます▼縄文時代の大規模集落で有名な青森市の三内丸山遺跡にはその骨が腐らずに見つかっています。当時はどうやって捕っていたのか。秋田県などの豪雪地帯にワラダ猟という方法があるそうです▼それはこうです。ノウサギを見つけると、ワラダと呼ばれる藁(わら)などを輪っか状にした道具を投げる。するとノウサギはワシやタカと勘違いして雪に潜り込み、猟師がその穴に手を突っ込み掘り出すと。そのワラダに似た遺物が秋田県の遺跡から縄文時代の樹皮製品として発掘されています(『十二支になった動物たちの考古学』)▼縄文人もそうやって追いかけていたのでしょうか。唱歌「故郷」は「兎(うさぎ)追いしかの山」で始まります。自然の中で暮らす人々に思いが広がりました。








