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2022年12月31日(土)

主張

続くロシアの侵略

国連憲章にもとづく解決こそ

 ロシアのウクライナ侵略が続くなかで、2022年が終わろうとしています。ロシア軍は、各地のエネルギー関連施設をミサイルで破壊し、厳冬期に市民から暖房や照明を奪う攻撃を強めています。プーチン政権は新鋭兵器の配備や兵站(へいたん)の強化で新たな攻勢に出る構えです。ウクライナ、ロシア両国民の犠牲を増やし、自国を破滅に導くことにしかなりません。大義のない侵略戦争は直ちにやめるべきです。

国際社会の総意は明らか

 ロシア政府は9月以降、30万人もの予備役を動員しましたが、国民の強い反対や忌避に直面しました。21日に開かれた国防省の会議でプーチン大統領は、兵士の服装、食料、医療キットまでが旧式で問題があったと認めざるをえませんでした。装備が不十分なまま戦場に送られ、人的損害を増やしています。

 この席で大統領は、新型の大陸間弾道ミサイルを近く実戦配備することや、極超音速ミサイルを搭載した新フリゲート艦が1月に就役することなど、軍事力強化を発表しました。徴兵の対象年齢を段階的に引き上げる措置も明らかにされました。

 翌22日の記者会見でプーチン大統領は「どんな武力紛争も何らかの外交交渉によって終わる」と述べ、ウクライナが交渉を拒んでいると非難しました。

 しかし一方的に併合を宣言したウクライナ東部・南部4州の地位については「すでに決定されたこと」として、交渉の対象としない立場を変えていません。外交的解決の道を自ら閉ざす姿勢です。

 併合は、10月12日に採択された国連総会決議で、国連憲章、国際法に反する違法、無効な行為として撤回を求められています。決議には国連加盟国の7割を超す143カ国が賛成しました。

 ロシアによるウクライナ侵略は、3回にわたって採択された国連総会決議で国連憲章違反と断罪されています。いずれも140カ国以上が賛成しており、国際社会の総意となっています。ロシアは受け入れなければなりません。決議が要求した「即時、完全、無条件」の撤退、併合宣言の撤回が不可欠です。

 10月の総会決議は「国連憲章の諸原則」「ウクライナの主権と領土保全の尊重」を大前提に「緊張緩和や、政治的対話、交渉、調停およびその他の平和的手段による平和的解決を支持すること」を各国政府、欧州安全保障協力機構(OSCE)、その他国際・地域機構に求めました。外交解決の努力を促したことは極めて重要です。

危険な軍事的対決の道

 米国のバイデン政権などが主張する「民主主義対専制主義」の構図は、米国が主導する特定の価値観によって世界に分断を持ち込むことになります。この価値観をたてに、国際社会からロシアを排除することは解決の妨げです。まして軍事対軍事の対決を強めることは、対立を世界に広げ、緊張を激化させる危険な道です。

 国連憲章に基づいて平和の秩序を守る一点で世界が結束を強めることが何より大切です。侵略は許されないという憲章の原則が団結の軸となります。

 新しい年、戦争終結に向けた外交にさらに力を尽くすことが国際社会に求められます。


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