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2022年12月28日(水)

きょうの潮流

 日本で最初に開園して140年の東京・上野動物園。すっかり冬景色の園内は、寒さに負けない子どもたちの笑顔でいっぱいでした▼市民に親しまれるそんな動物園が好きで各地の園を訪ねるうちに、ある思いを抱くようになりました。喜ぶ子どもの向こう側にいる動物たちは、果たして幸せなのだろうか▼動物の肉体的・精神的幸福をめざす「動物の福祉」や、生きる権利を尊重し、人間による利用を否定する「動物の権利」―。こんな考え方が欧米を中心に広がったのは1970年代でした。近年、フランスでは人間のためのイルカショーを禁止する法案が可決され、イギリスでは動物園でのゾウの飼育がふさわしいのか議論を呼んでいます▼日本でも、札幌市で動物の福祉や保全の取り組みを支援する「認定動物園制度」がつくられたり、各地で保全活動の促進や飼育・展示の改善への努力が始まっています。しかし、多くの動物園では、資金難による飼育環境や労働条件の悪化に直面しているのが実態です▼今日、動物園に期待される役割は、教育、研究、野生復帰・繁殖、余暇と多岐に。とりわけ「動物と触れ合い、学び、保全を広げるのは動物園の役割」と専門家はその意義を強調します▼先日、カナダで開かれた国連の生物多様性条約締約国会議(COP15)は、多様性の回復へ保全区域を拡大する新たな目標を採択しました。子どもたちに親しまれる動物園は、保全への入り口でもあります。141年目を迎える動物園の役割は大きい。


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