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2022年12月26日(月)

欧州左翼との連帯求めて 緒方副委員長に聞く(2)

互いに心をかよわせて

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(写真)国民議会の会議室で会談する緒方副委員長(左手前)、米沢国際局員(その左)と、「服従しないフランス」のメランション代表(右端)、パノー議員団長(右から2人目)=11月8日、パリ

 欧州の左翼政党は、欧州議会で左翼会派を組むなどして日常的に関係が濃く、互いによく知り合っています。私たちの党は地理的に離れ接触の機会は制約されています。それでも、1970~80年代、私たちの党と欧州との交流は頻繁でした。ですから、年配の幹部は、日本共産党について、ソ連と中国と大論争をした党、大きな機関紙を持つ党などと知っています。しかし、若い人にはほとんど知られていません。

 他方、欧州の共産党の中には、ソ連に対する自主性にまつわる過去への思いとそれを克服する苦労があるようです。このことを私たちも知っておき、こちらから積極的に話そうというイニシアチブが大事だと思いました。

 私たちは、今日の情勢下で共通した志でたたかう党同士であり、対等な立場で意見交換を率直に行うことができました。私たちの党が、党勢拡大の期間を設けるなど党建設の課題での苦労と対応を紹介すると、好感がもたれました。それではと先方から、政策上、組織上の苦労が語られました。苦労を共有し心が通い合っている実感があり、うれしかったですね。

どう対案を示すか探求

 欧州の諸党からは、新自由主義への国民的な怒りで社会運動は盛り上がるが、党がそれに応える魅力ある対案を見いだせていないとか、極右は左翼が最も注意を払うべき貧困層を基盤としているのに有効な対策を得られていないとか、難民問題で社会正義の立場から受け入れの政策を掲げても、有権者に響かないなどが率直に語られました。

 さらに、ロシア脅威論を背景に軍事的対応に傾く政府に外交的対案を提起するが、有権者の心をとらえにくくなっているとか、大きかった平和運動がソ連崩壊後に弱体化し、肝心な今有効にたたかえないという反省点が出され、活発な日本の平和運動がどれだけ貴重なものかといわれたことを重く受け止めました。

五つの課題 全面的賛成

 フランス共産党のピエール・ロラン全国評議会議長は、7年前に日本を訪問、志位委員長と会談し、その後原水爆禁止世界大会に参加しており、旧知の間柄です。彼は、「現在の世界における軍事化、戦争の増大の危険があり、私たちが共同を強めるのは非常に重要だ。あなた方のイニシアチブに感謝する」と述べました。

 ロラン氏は、6月の核兵器禁止条約第1回締約国会議にフランス政府のオブザーバー参加を要求したが、政府が拒否したもとで、国会議員として同会議に出席したと語り、この条約の促進で協力しようと強調しました。

 フランス共産党は70年代に、フランスの核保有容認の政策を打ち出したことがありましたが、とっくにそれと決別しており、今日の立場は明白です。「提起された五つの課題に全面的に賛成する。自分でつくっても同じ提案になる」とまで語りました。

「赤旗」報道にざわめき

 次に会談したのは、2016年に創立され、フランス左翼の第1党になっている「服従しないフランス」。ジャンリュク・メランション代表は4月の大統領選挙で第3位、2位に1・2ポイント差まで迫りました。直後の国民議会選挙で共産党などと左翼連合を組み、現在、国会内で左翼連合傘下の会派が共同しており、左翼連合が機能しています。

 メランション氏は、会うなり「今朝からこの時を待ちかねていた。今日は特別な日だ」「国民議会議員団団長、5人の議員と迎えているように、この会談を特別に重視している」と歓迎の辞を述べました。

 「アジア諸国と地に足の着いた友好関係を形成したいと考えており、日本共産党との関係を非常に重視している」と語りました。

 私から、「しんぶん赤旗」は先の国民議会選で当選したラシェル・ケケ議員(コートジボワール出身で、パリのホテルの清掃係)に注目し、選挙の前、最中、後と3回にわたり特派員記事を掲載したので、ケケ議員は、読者の間でよく知られていると紹介。議員団長はじめ議員の間からざわめきが起きました。

 事前に、党史、国際路線、東アジア情勢、原発など彼らの関心事についての質問があり、文書で回答していました。メランション氏はそれを読み、私の発言を聞いたうえで「われわれの党はマルクス主義の立場ではないが、自主独立と非同盟は、日本共産党との共通点だ」と指摘しました。

 さらに、侵略性を強めている国々により、戦争の危機が世界化しようとしているときに、平和のために力を合わせようと強調しました。

 最後に、資本主義を擁護する側がよく組織されているのに対し、労働運動や進歩的な運動には、結束が欠如している、左翼の共同を強めるために課題別の共同も含めて検討すべきだとの提起がありました。

 先方からは、福島原発事故の放射能汚染水海洋放出への懸念が提起され、脱原発での共同を進めることも確認されました。(つづく)


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