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2022年12月26日(月)

主張

岸田大軍拡予算

暮らし置き去り政治の転換を

 岸田文雄政権が23日に閣議決定した2023年度政府予算案(一般会計総額114兆3812億円)で軍事費は「防衛力強化資金」への繰り入れ3兆3806億円を合わせて10・2兆円となりました。財務省も「防衛関係費」は前年度比89%増と説明し、1・9倍の増額です。歳出総額の9%が軍事費という異常な大軍拡です。その一方、社会保障や暮らしの予算を軒並み削りました。コロナ危機や物価高騰への対応はまったく不十分です。

抑制続ける社会保障費

 「防衛力強化資金」は23年度の軍事費6兆8219億円とは別建てで、24年度以降に使う軍事費を先取りする、異例の予算です。外国為替特別会計からの繰り入れ、政府が保有する不動産の売却のほか国立病院の積立金やコロナ対策資金の一部まで流用します。

 自衛隊の艦船建造、施設建設に4343億円の建設国債を充てます。「軍事費の財源として公債を発行することはしない」(1966年の福田赳夫蔵相答弁)とした政府見解をほごにするものです。

 社会保障費は、高齢化で増える「自然増」の伸びを1500億円、圧縮します。75歳以上の高齢者の医療費窓口負担の2倍化などで「自然増」を削減します。公的年金の支給額は抑制し、物価高で実質減となります。首相が言う「子育て予算倍増」は実現の見通しがありません。

 中小企業対策費は22年度当初予算から9億円減らされ、1704億円しかありません。トマホーク巡航ミサイルの購入費2113億円すら下回っています。賃上げ支援として計上されている生産性向上の助成金は以前から使いにくいと指摘され、実効性がありません。雇用全体の7割を占める中小企業には、社会保険料の軽減など抜本的な賃上げ支援が必要です。

 不公平税制の是正は置き去りです。首相が就任前に掲げた「1億円の壁の打破」「金融所得課税の強化」は影も形もありません。

 物価高騰で一段と必要性が高まっている消費税減税は相変わらず拒んでいます。消費税収の23年度見込みは23兆円超です。国民が困窮を深める中、4年連続で最大の税目となります。

 原発については「次世代革新炉」の研究開発支援に新規で123億円を計上しました。東京電力福島第1原発事故の教訓を投げ捨てるものです。取り返しのつかない重大事故を起こした原発の推進を「グリーントランスフォーメーション」(GX)と称して強行することは許されません。

 使途を事前に国会にはからず、政府の判断で使える予備費は5兆円を計上しました。巨額の予備費の常態化は財政民主主義に反しています。

戦争への道を繰り返すな

 国民の暮らしを犠牲にし、「戦争する国づくり」に財政を総動員するのは、日本がアジアへの侵略戦争でたどった道です。戦費調達を目的とした国債を大量に発行し、際限のない軍拡に突き進んだ歴史を繰り返してはなりません。

 23年度予算案は平和と暮らしを守るものに抜本的に組み替えなければなりません。大軍拡に対するたたかいは日本の進路にかかわる重要な意義を持っています。憲法、暮らし、平和を守る世論と運動を大いに広げましょう。


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