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2022年12月24日(土)

主張

異常突出の軍事費

空前の大軍拡必ず阻止しよう

 岸田文雄政権が23日に閣議決定した政府の2023年度当初予算案で、軍事費は6兆8219億円(米軍再編経費など含む)に達しました。過去最大だった前年度の5兆4005億円から一気に1兆4214億円もの上積みです。軍事費は12年末に第2次安倍晋三政権が発足して以来、13~22年度まで連続して拡大されてきました。この10年で増えた総額は約6900億円です。これに対し、今回はその2倍を超える1兆4000億円もの増額を単年度で強行します。空前の歴史的大軍拡です。

敵基地攻撃に1.4兆円

 23年度の軍事費は、岸田政権が16日に決定した「国家安全保障戦略」など安保3文書の一つ、「防衛力整備計画」の初年度に当たります。同計画は23~27年度までの5年間の軍事費総額を43兆円(米軍再編経費などは別枠)としました。27年度には軍事費を8兆9000億円(同)にするとしています。「防衛力強化資金(仮称)」(23年度・3兆4000億円)の創設もそのためです。異常な軍拡が際限なく続くことになります。

 中身も極めて重大です。

 国家安全保障戦略は、相手国領内にあるミサイル発射拠点などを直接たたく「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の保有を初めて盛り込みました。敵基地攻撃は、主に「スタンド・オフ防衛能力」=長距離ミサイルで行うとしています。

 23年度の軍事費も同能力の取得が大きな柱の一つで、約1兆4000億円(契約ベース、以下同じ)を計上しました。

 具体的には、米軍がアフガニスタンやイラクへの先制攻撃の戦争で使用したトマホーク巡航ミサイル(射程1600キロ)を初めて購入します(2113億円)。

 国産の長距離ミサイルでは、新たに▽射程1000キロの「12式地対艦誘導弾(能力向上型)」の量産(939億円)▽変則軌道で飛ぶ「島しょ防衛用高速滑空弾(能力向上型)」の開発(2003億円)▽音速の5倍以上で飛行する極超音速誘導弾の研究(585億円)―などを盛り込みました。

 敵基地攻撃と「ミサイル防衛」を組み合わせる「統合防空ミサイル防衛(IAMD)能力」として、「イージス・システム搭載艦」の整備に向けた経費(2208億円)も初計上しました。IAMDは、米国が同盟国を巻き込んで地球規模での構築を目指しています。

 岸田首相は安保3文書を決定した際、「相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力となる反撃能力は今後、不可欠」と強調しました。

 しかし、元政府高官からも「反撃能力は抑止力を高めるものになるとは言えない。北朝鮮は反撃に対応する能力を開発するだろうし、急速に国防費を積み上げている中国にも抑止力として働くとは考えがたい」(田中均・元外務審議官、「毎日」17日付)と批判が上がっています。危険な軍拡競争の悪循環に陥るのは明らかです。

自衛隊元幹部からも疑問

 今後の軍事力の規模や内容には、元自衛隊幹部からも「身の丈を超えている」「子どもの思いつきかと疑うほどあれもこれもとなっています」(香田洋二・元海上自衛隊自衛艦隊司令官、「朝日」23日付)との疑問も出ています。

 敵基地攻撃能力の保有と大軍拡に反対する世論と運動を大きく広げる時です。


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