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2022年12月22日(木)

きょうの潮流

 あれから30年。だれもが働きやすい職場が普通になっているでしょうか。1992年、日本で初のセクシュアルハラスメントを問うた裁判で勝利判決が出ました▼「セクハラ」という言葉さえなかった時代でした。この裁判では、個人の問題にとどまらない「力の不均衡」による「力の乱用」だと意味づけました。そして「職場に性差別があるから起こること」だとして、企業の安全配慮義務を問うたのです▼性的な嫌がらせである言動に苦しめられながら、声を上げられなかった女性たちが裁判を支援し、ともにたたかいました。「男性の目障りにならないように」と女性に求められた、働き方の枠の理不尽さも、考え直す機会となりました▼「弱いものいじめは恥ずかしい、という文化が日本にはあるはずです」。こう話すのは、弁護士として関わってきた辻本育子さん。権力を得たものがその力でハラスメントをするのは恥ずかしいこと。「そんな“美意識”をもってほしい、そして性差別を禁止する法の仕組みがほしい」と願います▼企業の研修に何度も招かれた辻本さん。一番多かった質問は「どうすれば訴えられずに済みますか?」でした。自分より強い相手にはできないのがハラスメント。自分の方が優位なら、その関係性を意識することがハラスメントを防ぎます▼たたかいの積み重ねが、だれもが安心して働ける職場を広げていきます。冷たくて長い夜を耐えたその先に、暖かな昼の時が少しずつ伸びていくように。今日は冬至です。


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