2022年12月22日(木)
学術会議、「介入」再考求める
政府の会員選考方針
「独立性侵害」と総会声明
日本学術会議の会員選考に第三者を介入させる法改定を来年の通常国会で目指す政府方針に対し、日本学術会議は21日、東京都内で開いた総会で、同会議の独立性への侵害を懸念し、政府に「強く再考」を求める声明を決定しました。
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声明は、政府方針は学術会議の存在意義の根幹にふれるものにもかかわらず、内容の詳細は示されておらず、わずかな時間で慎重な検討と丁寧な議論ができるのか「強い懸念を抱」くと表明。主な懸念事項として次の点を列挙しました。
▽既に学術会議が独自に改革を進めているもと、法改正を必要とする理由が示されていない▽第三者委員会の関与は学術会議の自律的かつ独立した会員選考への介入のおそれがあり、首相による会員の任命拒否の正当化にもつながりかねない▽来年10月の会員改選に向け、学術会議が既に説明責任を果たしつつ選考を進めているにもかかわらず、次期改選を改定法のもとで行うとし、改選時期の延長と現会員の任期の調整を提示している▽学術会議の部の編成が提起されているが、「学問の体系」に即さない政治的・行政的判断による提案であり「独立性」が侵害される▽学術には政治や経済と異なる固有の論理があり、政府方針が強調する「政府等との問題意識や時間軸等を共有」できない場合があることが考慮されていない。
さらに、当事者である学術会議との意見交換や国民との対話を欠いたまま、拙速に法改定の準備が進められていることに「強い危惧」を表明しています。学術が人類社会の公共財として活用され、政策立案に貢献することを目指すなら、信頼関係の構築が重要だと指摘。その努力をせず学術会議の独立性を危うくしかねない法制化を強行することは、「真に取り組むべき課題を見失った行為」だと厳しく批判しています。
梶田隆章会長は、「国民や社会にもしっかり発信していきたい」と述べました。