2022年12月20日(火)
立憲主義の破壊に警鐘
九条科学者の会が講演会
九条科学者の会は18日、「立憲主義国家の破壊と再生」をテーマにオンラインで講演会を開きました。
憲法学が専門の奥野恒久・龍谷大学教授は、日本の安全保障政策の大転換の起点は2013年に安倍政権が打ち出した「積極的平和主義」にあり、岸田政権がさらに「アクセルを踏んでいる」と指摘。米国の戦争に積極的に関わり軍事力を誇示することが平和につながるとするこの軍拡論は、憲法を無視していると警鐘を鳴らしました。
奥野氏は、「全世界の国民の平和的生存権」をうたう憲法の前文と、軍事権力をしばってきた9条の意義を強調。「台湾問題で軍事的な関与はしないと米中両国に毅然(きぜん)と言える政府を作ることが必要だ」と訴えました。
日本近代史が専門の宮間純一・中央大学教授は、国家に偉勲ある者を対象に天皇の特別のおぼしめしによって行われる「国葬」が明治期に成立し、国民統合のために利用された戦前の歴史を解説。「大日本帝国憲法下で行われていた国葬を日本国憲法下で使い回すことはできない」と述べました。
問題を何も解決せず閣議決定で強行された戦後初の吉田茂元首相の国葬は「先例にはならない」と指摘。歴史を無視して実行された安倍元首相の国葬も先例にしてはならないと強調しました。
宮間氏は、米国は歴代大統領を国葬にする一方、「大統領図書館」を法的に設置して資料を保存・公開し、国民が大統領を追及する仕組みも用意していると言及。安倍氏と統一協会の関係について、同氏の死去を理由に岸田首相が調査を拒んでいる状況と対比しました。








