2022年12月18日(日)
逃げる岸田政権 対決する日本共産党 臨時国会69日(4)
社会保障
罰則でなく医療に支援を
「3年ぶりに、緊急事態宣言等の行動制限を行わずに、今年の夏を乗り切れた」
臨時国会冒頭の岸田文雄首相の所信表明に、だれもが耳を疑いました。
死者は過去最悪
![]() (写真)介護保険改悪に反対する署名を倉林参院議員(右から3人目)と宮本衆院議員(同4人目)にわたす参加者=11月22日、国会内 |
新型コロナウイルス第7波による死者が過去最悪の1万3000人を超えた背景には、岸田政権の無為無策、成り行き任せのコロナ対策がありました。臨時国会で成立した改定感染症法も、これまでのコロナ対策に対する厳しい反省のもとに検討されるべきでした。
ところが、今回の改定は、感染症拡大時に病床の確保や医療が提供できない医療機関に厳しい罰則を設けるもので、これまでギリギリの人員体制でコロナ患者を受け入れ、医療崩壊を食い止めてきた医療機関にムチ打つ内容です。
耳原総合病院(大阪府堺市)の河原林正敏院長は同法の参考人質疑で、病床確保の義務化と罰則が「地域医療の崩壊につながることになるのではないかと危惧している」と陳述しました。
「正当な理由なく確保病床が稼働できなかったという立法事実はあったのか」との倉林明子参院議員の質問に、加藤勝信厚生労働相は「患者像と病床確保に関し医療機関と都道府県との認識のずれが生じた」と答えましたが、罰則を必要とする立法事実は示せませんでした。衆院の質疑では、厚労省の榎本健太郎医政局長が「都道府県や国からの要請に、各医療機関は可能な限り対応した」と答弁しています。
約3年にわたるパンデミックの教訓は、緊急時の対応のためには、平時の医療提供体制に余裕が必要だということです。しかし、政府は地域医療構想で急性期病床20万床の削減を進めようとしています。第8波の到来が現実となるなか、いま求められるのは、医療機関に対するペナルティーではなく、人員の確保と財政支援です。
高齢者の負担増
政府はこの間、物価高騰にもかかわらず年金額を逆に0・4%引き下げました。10月からは高齢者の医療費値上げを強行。さらに、来年の介護保険法改定に向けて、利用料の2、3割負担の対象拡大、要介護1、2の在宅サービスやデイサービスの保険給付外しなど、「史上最悪」と呼ばれる改悪案を検討しています。
宮本徹衆院議員は「物価高騰の中で所得の少ない人ほど生活は厳しい。高齢者は6月から年金が切り下げられ、10月から75歳以上、370万人の窓口負担が2倍になった。介護保険の利用料2割負担の対象拡大の検討は、首相のイニシアチブで中止すべきだ」と追及しましたが、岸田文雄首相は「能力のある方に負担してもらうことも重要との意見もある」などと冷たい態度に終始しました。
11月22日には、中央社会保障推進協議会や全日本民医連、全労連が、介護保険改悪に反対する13万7638万人分の署名を国会に提出するなど、全国に怒りが広がっています。(つづく)









