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2022年12月17日(土)

主張

安保3文書決定

戦後日本のあり方覆す暴挙だ

 岸田文雄政権が、新たな「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の安保3文書を閣議決定しました。文書自身が認めるように、相手国領内への「反撃能力(敵基地攻撃能力)」の保有を初めて盛り込むなど、「戦後の防衛政策の大きな転換点となるもの」です。憲法の恒久平和主義に基づく戦後日本のあり方を根本から変え、日米軍事同盟を一層強化する下で「戦争国家づくり」の道をさらに突き進もうとする暴挙です。

日米が一体で敵基地攻撃

 文書は、相手国のミサイル発射拠点などを直接たたく敵基地攻撃能力について「相手の領域において、我が国が有効な反撃を加えることを可能とする…自衛隊の能力」と規定し、そうした「反撃能力を保有する必要がある」と明記しました。戦後一貫して、他国を攻撃できる兵器の保有は「憲法の趣旨とするところではない」としてきた政府見解を乱暴に覆すものです。

 文書はまた、「反撃能力」は「平和安全法制に際して示された武力の行使の三要件」を満たせば行使できるとし、2015年に成立が強行された安保法制で可能になった集団的自衛権の行使の際にも発動されることを明確にしました。

 米国が始めた戦争で、日本は武力攻撃を受けていないのに、自衛隊が米軍を支援するため、相手国領内に敵基地攻撃をすることができるようになります。政府が「憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略」として掲げてきた「専守防衛」を完全に有名無実にするものです。

 敵基地攻撃は日本単独ではなく、「日米が協力して対処していく」とし、日米共同で行うとしていることも重大です。

 「ミサイルに対する迎撃と反撃」など「多様な任務を統合し、米国と共同して実施していく必要がある」とし、「スタンド・オフ防衛能力」と「統合防空ミサイル防衛能力」の強化を打ち出しました。

 「スタンド・オフ防衛能力」とは、長距離ミサイルを指します。具体的には、長射程の国産ミサイルを開発・量産するとともに、米国製のトマホーク巡航ミサイルも導入します。

 「統合防空ミサイル防衛」は米国が提唱してきた構想で、相手国のミサイルを迎撃するだけでなく、敵基地攻撃を含みます。米国は10月に公表した「ミサイル防衛見直し」報告書でも、同盟国の協力・参加を求めていました。日本が米国の軍事戦略に追従し、米軍指揮下で日米が一体となって敵基地攻撃を行うことになります。

 軍事的対応の強化は、相手国の新たな軍事的対抗策を招き、結果として日本をさらに危険にさらすことになるのは明らかです。

岸田政権倒すたたかいを

 文書が、27年度に軍事費とその関連予算を合わせ現在の国内総生産(GDP)の2%にすると明示したのも重大です。軍事費は23~27年度の5年間で総額43兆円程度、27年度予算で8兆9000億円程度にすると決めました。19年度からの5年間の計画が27兆4700億円程度、22年度当初予算で約5兆1800億円だったことに比べ、極めて異常な増額です。主な財源は、所得税を含む増税です。

 憲法と平和と暮らしを破壊する岸田政権の打倒に向けた歴史的なたたかいを大きくする時です。


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