2022年12月17日(土)
国民負担増で軍事費倍増
与党が「税制改正」大綱を決定
自民・公明両党は16日、2023年度「税制改正」大綱を決定しました。岸田文雄政権が5年以内に実現を狙う軍事費2倍化の財源については、復興特別所得税の期限を延長し、増収分を充てることを明記。東日本大震災からの復興予算を流用し、国民負担で軍事費を増額します。今回の大綱は、軍拡財源確保に向けた税制の骨格を示し、増税は「24年以降の適切な時期」に実施するとし、時期を国民に知らせることすらしません。
岸田政権は軍拡のために、27年度に増税で1兆円強を確保するとしています。大綱は、法人税、所得税、たばこ税の増税を明記しました。法人税は税率に手を付けず、税額に一律の税率を上乗せする付加税方式を採用、法人税額の4~4・5%を上乗せします。ただし、課税標準となる法人税額から500万円を控除します。
所得税は、東日本大震災の復興財源となっている復興所得税の一部を流用します。復興特別所得税は現在、所得税額に2・1%を上乗せして課税しています。そのうち1%を軍拡財源とし、37年に迎える終了期限を「復興財源の総額を確実に確保するために必要な」期間、延長します。
たばこ税は、1本当たり3円を段階的に引き上げます。
政府が来年10月に導入を狙うインボイス(適格請求書)制度では、「激変緩和措置」を設けました。免税業者が課税業者に転換した場合、納税額を売り上げにかかる消費税の20%とします。また、売上高1億円以下の事業者は、1万円未満の仕入れにインボイスがなくても仕入れにかかった消費税を納税額から控除できるようにします。ただし、前者は3年間、後者は6年間と期間限定。売上高1000万円以下の零細な免税業者に負担を押し付ける本質は不変です。また、原則3月31日までとされていた登録期限は、9月末まで無条件に受け付けることになりました。
合計所得が30億円を超えるような超富裕層への課税強化が盛り込まれました。年間所得が1億円を超えると所得税負担率が下がる「1億円の壁」の是正をめざすとしています。合計所得金額から3・3億円を控除した額の22・5%より通常の所得税額が低い場合、差額分を申告納税します。所得50億円程度の人は負担が2~3%程度増えるとしています。ただ、所得1億円を超える申告納税者だけで1・9万人いるのに、対象は200~300人程度となる見通し。25年分の所得から適用するとしています。








