2022年12月16日(金)
きょうの潮流
鎌倉幕府と後鳥羽上皇が激突するなか、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が佳境を迎えています。貴族の時代から武家社会へ。すさまじい権力闘争が繰り広げられてきました▼主人公の執権・北条義時を中心に親子きょうだいや信頼してきたはずの御家人たちとの間で続く、非情で容赦ない血の争い。そのなかで喜怒哀楽あふれる人間模様が展開し、起伏のある物語が魅力となっています▼見逃せないのが女性たちの存在です。義時の父・時政を手玉にとった牧の方。義時の3番目の妻・のえはわが子を跡継ぎにと、野望を隠しません。巴御前は、パートナーの木曽義仲とともに戦場へ▼脚本家の三谷幸喜さんは「ぼくは女性を書くのが下手。今度こそ汚名を返上したい」と。その言葉通り、女性たちを決して歴史の裏舞台に押し込めようとはせず、男性と堂々と渡り合う姿を描き、作劇の面白さを打ち出しています▼筆頭は政子でしょう。源頼朝亡き後は尼御台(あまみだい)と呼ばれ実力を発揮。独裁に走る義時をいさめもします。貧しい民百姓と交流し、激しいたたかいのなかでも命を軽んじない姿が描かれ、後に尼将軍として支持されることになったのもうなずけます▼実際に当時は女性の地位が高く、経済的な基盤となる土地や財産を分割相続していました。そのことが、女性が一定の力を持ち、政治にかかわる素地にもなりました。さて、いよいよドラマは18日が最終回。義時の最期とともに、69年の波乱の生涯を送った政子がどう描かれるかにも注目です。








