2022年12月16日(金)
主張
全国の鉄道網
維持・活性化に国が責任果たせ
今年は日本の鉄道開業150年です。記念すべきこの年に、鉄道網を寸断する新たな動きが起きています。岸田文雄政権は、利用者の少ない路線の廃止を政府主導でさらに進める方針です。住民の足を奪い、地方に悪影響をもたらす廃線をこれ以上許すわけにいきません。
日本共産党は13日、全国の鉄道網を維持・活性化し、未来に引き継ぐための提言を発表しました。鉄道、地域を守ることを願う人たちと力を合わせ、地方活性化の共同を広げましょう。
地方再生、脱炭素に必須
国土交通省の検討会は7月、輸送密度1千人未満の路線について、国が主導してJRと自治体との協議会を設置し、廃線や地元負担増などの結論を3年以内に出すとの提言を発表しました。国交省はこれを基にして来年の通常国会に法案を提出するとしています。
料金値上げや地元自治体の財政負担増を迫り、それができなかったり、収支が改善しなかったりすれば廃線となりかねません。
対象となる線区は2019年度の実績で61路線100区間です。1987年の国鉄分割・民営化前後を上回る規模の廃線になる恐れがあります。地域の公共交通を失い、旅客だけでなく、貨物輸送にも大きな打撃を与えます。
検討会は、地方路線が「危機的状況」だといいますが、国が路線存続の責任を放棄したことこそ最大の原因です。分割・民営化で掲げた原則は、JR各社が都市部の路線や新幹線、関連事業の収益で不採算部門を含めた鉄道網を維持することでした。このやり方が破綻した結果にほかなりません。
人口減少や地域経済の疲弊で苦しむ地方路線に国はまともな支援をせず、2000年には、認可制だった路線廃止を事前届け出制に規制緩和しました。
国民の交通権・移動の権利を保障することは国の重要な責務です。地方路線の維持・活性化は地方再生にとっても欠かせません。気候危機を打開するうえでも、二酸化炭素の排出量が自動車、航空機より格段に少ない鉄道の利用拡大を図る必要があります。
日本共産党は、「民間まかせ」をやめ、国が責任を果たす改革への転換を提言しました。
地方路線の廃止を止めることは緊急の課題です。北海道、四国、九州は分割したこと自体に経営上の無理がありました。路線維持に国が財政支援するのは当然です。巨額の内部留保を持つJRの本州3社は全路線を維持すべきです。路線の廃止は許可制に戻すよう法律を改正します。
持続可能なシステムに
中長期的には「民間まかせ」「地方まかせ」を改めて国有民営に改革し、持続可能なシステムを築きます。国が線路、駅など鉄道インフラを保有・管理することで鉄道事業を安定させることができます。運行はJRが行います。この上下分離方式によって国の関与と責任が明確になります。
鉄道網を維持する財政基盤の確立も不可欠です。「公共交通基金」を創設して民鉄やバスを含めて地方の公共交通を支援すべきです。災害で廃線に追い込まれることのないよう国の出資で災害復旧基金を創設することが必要です。
鉄道事業者や関係自治体など多くの方々に論議を呼びかけます。








