2022年12月14日(水)
困難ある女性支援へ方針議論
当事者の意思尊重を
厚労省・有識者会議
厚生労働省の「困難な問題を抱える女性への支援に係る基本方針等に関する有識者会議」(座長・戒能民江お茶の水女子大学名誉教授)は12日、第3回会合を開きました。会議は虐待や貧困、性搾取・性暴力の被害などの困難を抱える女性を支援する法律の成立(5月)を受けたもの。支援からの早期自立を重視する風潮を懸念し、当事者の意思の尊重を基本方針で貫くよう求める声が相次ぎました。
支援を必要とする人の早期発見から生活再建や被害回復、支援施設を出た後のケアまで段階に応じた支援のあり方を検討。当事者の人権擁護や意思尊重を掲げる支援法の理念を踏まえ、「当事者が支援の道筋を自ら決定するものでなければならない。各段階で当事者が参画し支援計画をつくるのが原則だと明文化してほしい」(全国女性シェルターネット・近藤恵子理事)といった意見が相次ぎました。
「自立支援」のあり方では、会合に招かれた立教大学の湯沢直美教授が、早期自立が重視され、当事者の抱える困難が未解決のまま支援施設を出される懸念があると指摘。「自立には個別性があり、必要な時間も一律ではないことを踏まえる必要がある」と述べました。
支援体制では、厚労省が女性自立支援施設(現婦人保護施設)の設備・運営基準などを定める政省令案を提示。支援法の前身、売春防止法の女性差別的な視点が残っているとして全面見直しを求める意見や、「居室は個室を基本とすべきだ」「国の職員配置基準を倍にしてほしい」との声が上がりました。次回は26日の予定です。








