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2022年12月14日(水)

きょうの潮流

 文字は、ことばの器として生まれた。ことばを視覚、形象化し、そこに内在させることが目的であった。漢字学の白川静博士は呪いや神事をふくめ、文字には目的を達しようとする力が宿っていたといいます▼アルファベットの成立で文字とことばの結合という本質的なものは失われたが、漢字だけはいまもその特徴をもっている。成立以来ことばとともに生きつづけ、尽きることのない生命の源泉をなしていると▼さて恒例の今年の漢字に「戦」が選ばれました。白川さんの『漢字のなりたち』によれば、戦は単と戈からなり、単は上部の左右に羽飾りをつけた盾、戈はほこの形。左に盾を、右に戈をもってたたかうことを表しています▼スポーツやひきつづくコロナとの戦もあるでしょうが、やはり重く悲しく人びとにのしかかっているのはロシアによるウクライナ侵略でしょう。戦争がいかにむごたらしいものか、まざまざと示しています▼岸田首相は今年の漢字に「進」を選びました。どこに進むのか。はっきりしているのは相手の基地を攻撃できる力をもつことと、大軍拡です。過去のあやまちを忘れ、ふたたび亡国への道をたどるのか。それを許さない国民的なたたかいもこれからです▼ちなみに戦の対極にある「和」は、軍門にたてる標識の禾と、軍門で誓いをたて和議を行う口からなる和平の意です。儒教の書『中庸』では、和は最高の徳行を示す語とされています。早く戦が終わり、来年の漢字こそ、和となる世界へと進むように。


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