2022年12月13日(火)
世界で進む「気候訴訟」
市民が相次いで勝訴
気候ネット代表 研究集会で報告 日本の遅れは「特異」
大阪大学で開催されていた日本科学者会議の第24回総合学術研究集会(オンライン併用)は最終日の11日、「気候ネットワーク」代表の浅岡美恵弁護士が「気候危機と人権」をテーマに特別報告しました。近年世界各国で、市民が政府や企業を提訴する「気候訴訟」での勝訴が相次いでいることを示し、日本の「特異」な遅れに警鐘を鳴らしました。
浅岡氏は、地球温暖化による深刻な被害の実態を詳述し、温室効果ガス削減目標の国際的合意は進展してきたものの、各国の市民は不十分だとして、約2000件の気候訴訟が提起されていると報告しました。
画期となったのが、2013年にオランダのNGOが同国政府を相手に起こした民事訴訟で、2019年に確定した最高裁判決は、「国民への現実の切迫した脅威」から国民を守るのは国の責任だとして、削減目標を国際的な合意の水準に引き上げるよう命じました。
以来、アイルランド最高裁、フランス国務院、ドイツ憲法裁判所、ブラジル最高裁などでも原告側が勝訴。ドイツでは司法の決定を受け、2030年の削減目標を65%に引き上げ、昨夏にはオランダのハーグ地方裁判所が、石油企業シェルグループに対し国際的合意の水準での削減努力を命じました。
浅岡氏は、気候変動の被害は人権侵害であり、その拡大防止措置を怠れば、国も企業も不法行為責任を問われるのが世界の流れだと強調。いまだに石炭火力と原子力に固執する日本の政策の異常さを批判しました。








