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2022年12月11日(日)

欧州左翼党大会での緒方靖夫党副委員長の発言(要旨)

 欧州左翼党の第7回大会(9~11日、ウィーン)に出席した日本共産党の緒方靖夫副委員長の発言(要旨)は次の通りです。


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(写真)緒方靖夫副委員長

 日本共産党を代表して、第7回欧州左翼党大会と参加諸党の代表に友好と連帯のあいさつをおくります。

活動、課題に共通性

 先月、欧州6カ国を訪問し、左翼・進歩政党と会談しました。そこで確信したのは、それぞれ活動条件に違いはあっても、発達した資本主義国で活動する左翼勢力には、活動方法にも直面する課題にも実に共通点が多いということでした。

 支配層に圧倒的に有利な政治、経済、メディア状況のもとで選挙を通じて国民の多数を獲得するための戦略・政策、新自由主義のもとで拡大する格差・貧困への有効な対案、資本主義を乗り越えた未来社会に向かう魅力ある展望の探求などで苦労を共有し、学び合うことの有益性と必要性を痛感しました。

 多数の国民の支持を得て社会変革を進める発達した資本主義国における左翼政党は、困難ではあるけれど大きな可能性をもつ壮大な事業に取り組んでいるのだという強い連帯を感じました。

左翼間の連帯の強化を

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(写真)欧州左翼党大会の会場=9日、ウィーン(吉本博美撮影)

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(写真)欧州左翼党大会に出席した各党の代議員ら=9日、ウィーン(吉本博美撮影)

 継続中の戦争をはじめ今日の情勢は、欧州と日本の左翼勢力との連帯を強く求めています。わが党は、国連憲章と国際法に違反したロシアによるウクライナでの侵略戦争を強く非難しています。

 「欧州のNATO(北大西洋条約機構)化」の表現に示されるように、ロシアの脅威を最大限に使ってのNATO諸国の軍事費増大が際限なしに進められようとしています。

 日本の首相は、6月に開催されたNATO首脳会議に初めて出席し、NATOとの協力強化を約束しました。日本政府はNATO基準にそって、日本の軍事費を5年間で国内総生産(GDP)比1%から2%に倍加する方針を定めています。

 日米軍事同盟強化のもとで、日本は大西洋同盟への関与をますます強め、「日本のNATO化」ともいえる事態が進行しています。米国は、NATOがアジアへの関与を強めるよう圧力をかけています。

 日本と欧州諸国の支配勢力が今日、軍事、政治、経済の支配ネットワークを著しく強化しているもとで、日本と欧州の左翼勢力が協力を強化することは時代の強い要請です。

 今日、日本と欧州は右翼・反動勢力の台頭に直面しています。それに対抗し打破することは新しい課題です。

 日本では、第2次世界大戦でヒトラー、ムソリーニと軍事同盟を結んで侵略戦争をおこなった日本軍国主義を美化する歴史修正主義が横行しています。なんら法的規制を受けずに過去の戦争と植民地支配の賛美がおこなわれていることは欧州では信じ難いことでしょう。

協力の五つの課題

 欧州訪問で議論した共同の課題5点を述べます。

 第1に、国連憲章に基づく平和秩序の再建と強化です。

 国連憲章と国際法への依拠は、左翼だけでなく国際社会全体にとって根本的に重要です。

 第2に、軍事ブロック反対です。

 危機に乗じて軍事ブロックを強化するあらゆる試みに反対します。仮想敵に軍事で対抗し排除していくのではなく、包摂していくことが重要です。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)は、全ての国を包み込む包摂的なインド太平洋の平和協力構想を提起しています。わが党は、この構想を支持し、アジアを戦争の心配のない地域にしていくために全力をあげています。

 先月トルコで開催されたアジア政党国際会議総会は“ブロック政治を回避し、競争よりも協力、対話と交渉を”との宣言を採択しました。世界でブロック化の傾向が懸念されているもとで、アジアのこの声は意義あるものです。

 第3に、核兵器廃絶と核兵器禁止条約の推進です。

 核兵器に悪の烙印(らくいん)を押すこの条約は、すでに国際法の一部となっています。当地ウィーンで開催された第1回締約国会議には、NATO加盟3カ国がオブザーバーとして参加しました。唯一の戦争被爆国の日本の政府は、この条約に反対しています。わが党は多数の国民とともに、日本が核兵器禁止条約を批准するよう要求しています。

 第4に、気候正義です。

 気候変動問題の解決は、人類と地球にとって緊急の課題であり、次の世代に対する重い責任です。

 第5に、ジェンダー平等です。

 恥ずべきことに、日本のジェンダー平等指数は、経済協力開発機構(OECD)諸国の中で最悪、世界でも最低レベルです。私たちは、あらゆる女性差別、性暴力、性的指向や性自認に基づく差別をなくし、ジェンダー平等の社会づくりに取り組んでいます。

軍事ブロック、軍事費増大反対での共同を

 最後に、日本と欧州の左翼が取り組んでいる課題のなかで、特に、軍事ブロック強化と軍事費増大に反対する課題について可能な形で共同することを提案します。

 「軍事対軍事」の悪循環は、軍事費を際限なく増大させます。新自由主義のもとで格差と貧困がひろがるもとでの軍拡は、国民生活を一層劣悪にします。「軍事ブロック強化・軍事費増大に反対し、国民の暮らしを守れ」での協力を力強く進めましょう。


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