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2022年12月10日(土)

病院積立金 軍事費転用に怒り

「地域医療崩壊する」

公的病院労組が会見

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(写真)会見する鈴木(左から2人目)、金子(その右隣)両氏ら=9日、厚生労働省

 政府・財務省が軍事費の財源の一つに、公的医療機関を運営する独立行政法人の積立金の国庫返納を狙っている問題で、全日本国立医療労働組合(全医労)と全日本地域医療機能推進機構病院労働組合(全JCHO病院労組)は9日、厚生労働省で会見し、国庫返納に強く反対すると表明しました。

 岸田文雄首相は、27年度までの5年間で約43兆円もの大軍拡を指示しました。そうした大軍拡の財源の一つに国立病院機構とJCHOの積立金合わせて約1500億円を充てようとしていることが、敵基地攻撃能力について議論していた政府の有識者会議の報告書で明らかになりました。

 全医労の鈴木仁志書記長は、今もコロナ病床を確保しながら全国の病院などに看護師を派遣しているが、看護師は一人も増えておらず、職員の採用抑制や退職者を合わせて、実質600人ほど減ったと告発。「コロナ禍での実態を考えれば本来平時から感染症対策として用意されるべき財源だ。返納すれば経営も成り立たず、地域医療が崩壊する」と強調しました。

 全JCHO病院労組の金子昌仁書記長は、病院などでの職員の感染、家族の感染による自宅待機など人手が不足し、築70年を過ぎても建て替えできない施設が各地に点在していると指摘。現場からは「スタッフを増やしてほしい」「耐震化で問題があるとされる施設もあって早く新設してほしい」など切実な要望があがっているとし「患者・利用者の医療・看護・介護で得られた報酬は地域住民のための医療・看護・介護に使われるべきだ。防衛費ではない」と訴えました。


 2法人の積立金 2021年度時点の積立金は国立病院機構(NHO)で819億円、地域医療機能推進機構(JCHO)で675億円。両法人は、病院建物の整備・修繕、医療機器の購入などに充てるとしています。


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