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2022年12月9日(金)

きょうの潮流

 その歴史は飛鳥の昔までさかのぼるそうです。渡来人の智聡(ちそう)によって牛乳について知り、その子の善那(ぜんな)が当時の孝徳天皇に献上。これが、わが国の牛乳飲用のはじまりとされています▼和薬使主(やまとくすりのおみ)の姓をもらい、乳長上(ちのおさのかみ)という職に任じられた善那は搾乳や乳の加工の技術指導にあたりました(『牛乳と日本人』)。その頃から牛乳は「人の身体をよくする薬」と考えられ、いまでは私たちの食生活に欠かせなくなっています▼その牛乳が飲めなくなるような危機が迫っています。かつてないほどの苦境に酪農家が陥っているからです。エサ代や生産費が異常に値上がりする一方で、畜産物の価格は低落し需要も減少。搾れば搾るほど赤字になると悲痛な訴えを▼若手や中堅の離農も目立ちはじめ、このままでは先人が苦労してともしてきた酪農の灯が消えてしまいかねません。数年前にバター不足から国が増産を呼びかけ、多くが借金をしてまで規模を拡大したことも追いつめています▼「これまで経験してきた危機と違う点は良い材料が一つもないということ」。北海道厚岸町で60頭の乳牛を飼育している酪農家の苦悩を本紙の記者が伝えていました。何重もの困難に直面していると▼ところが岸田政権は、乳牛を減らせば金を出す、生産も抑えろと求めています。何百年と続いてきた農家の努力を泡と消し、命である食を先細りにしていいのか。すぐにでも高騰分を補てんするとともに、安心で安全な食料の生産に国は責任を果たせ。この声をもっと。


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